27年度全決算を認定、一般会計は特別委採決から一転/住田町議会

▲ 賛成6、反対5で認定となった27年度一般会計決算採決=住田町

 住田町議会9月定例会最終本会議は16日、議場で開かれた。12~14日の決算審査特別委員会(委員長・瀧本正德議員、議長を除く全11議員で構成)では、平成27年度一般会計決算を多数決で不認定としたが、本会議では一転して認定となった。町に対する多額の未償還金や未払金を抱える三陸木材高次加工協同組合(三木)と協同組合さんりくランバー(ランバー)問題を巡り、決算委で不認定とした一部議員が本会議では認定に回る〝逆転劇〟が起こり、近年にない異例の展開で閉会を迎えた。

 

波乱続きの展開で閉会

 

 この日は12議員全員が出席。一般会計決算と国民健康保険、簡易水道事業、下水道事業、介護保険、後期高齢者医療の各特別会計決算に関する審議は、特別委員会に付託していた。
 三木・ランバーは厳しい経営情勢が続いてきた中、これまで町から農林業振興資金貸付金として総額7億9000万円の融資を受けた。26年度から25年間かけて償還する計画となっているが、27年度までの納入額は223万円となっている。
 さらに決算では、この問題に関連する立木売払代金未収金総額が2億2584万円となり、26年度比較で1452万円増加。一般質問や特別委では、債権がさらに膨らんだ現状への追及が続いた。
 昨年10月以降、両事業体は新たな経営・生産体制で操業。当局は改革を進めたことで安定化の兆しが見え始め、今後策定される経営計画に基づいた返済が見込まれるとし、理解を求めてきた。
 本会議では、瀧本議員(無所属)が審査結果を報告。その後、菅野浩正議員(同)が認定賛成の立場で、佐々木春一議員(日本共産党)が反対の立場でそれぞれ討論。続いて瀧本議員が「一議員の立場として」(同議員)発言に立ち、賛成に理解を求めた。
 採決では、認定するとして6人が起立し、1人差ではあるが過半数に達した。特別委で進行役を務めていた瀧本議員が起立し、当初不認定とした7人のうち2人が態度を逆転させた。
 特別会計はすべて認定。本会議では、多田欣一町長をはじめ当局から決算関連での発言はなかった。
 終了後、菊池孝議長は「個人ごとに話を聞いた訳ではないが」と前置きしたうえで「委員会で不認定となり、その後に『これで住田町として本当に良いのか』と考えたのでは。議会としての総意はあくまでも認定。しかし、三木・ランバー問題に厳しい姿勢で臨んでいるということは当局には伝わったと思う」と語った。
 決算委とは一転して認定に回った議員の一人は「総括質疑の答弁では、町長は12月議会前には住民説明の場を持ちたい意向も示した。今は期待を持つしかない」などと話した。採決前、認定賛成の議員と三木・ランバー問題で意見を交わす時間があったという。
 決算審査特別委で主要施策の歳入歳出が盛り込まれた一般会計決算が不認定となること自体が異例で、さらに構成議員がほとんど変わらない議会本会議で結論が逆転する事態も極めて珍しい。三木・ランバー問題に対する議員側の複雑な思いが浮き彫りとなった。

 同日の最終本会議では町税条例と町国民保険税条例の各一部改正条例、平成28年度の一般会計と国民健康保険、簡易水道事業、下水道事業、介護保険、後期高齢者医療の各補正予算、財産取得、教育委員任命同意の全14議案も審議。すべて原案通り可決した。
 開会時に提出された一般会計補正予算(第4号)は、歳入歳出にそれぞれ4146万円を追加。主な増額は▽旧役場庁舎等解体工事費404万円▽世田米保育園増築工事設計業務委託料355万円▽住田分署新築工事設計管理委託料3198万円──となる。
 追加提案の同予算(第5号)では、さらに歳入歳出にそれぞれ1億3376万円を増額し、総額では54億4444万円に。先月30日に気仙を直撃した台風10号被害に伴う対応で、公共土木施設災害復旧工事費に9000万円、林業施設災害復旧費としての重機借上料600万円を計上したほか、床上浸水2軒に対する「災害による住宅の応急修理給付金」として115万円も盛り込んだ。
 任期満了に伴う教育委員の任命では、神田謙一氏(57)=下有住字中上=と菊池恵氏(50)=上有住字山脈地=を選任。任期は10月1日から32年9月30日までで、いずれも再任となる。