ますます元気で長生きを、地域や施設で敬老会ピーク/気仙(別写真あり)

▲ 権現舞を披露し「これからも元気で長生きを」と呼びかける保育所の子どもたち=陸前高田市小友町

 『敬老の日』を前にした18日、気仙2市1町の多くの公民館や高齢者福祉施設で敬老会が催された。地域の発展を支えてきた先輩たちの一層の健康長寿を願い、にぎやかな催しが繰り広げられた。

 

地域を挙げて祝福、陸前高田は10地区で

 

 陸前高田市では18日、10地区でコミュニティ推進協議会などによる敬老会が催され、古里のため尽くしてきた人々を地域を挙げて祝福した。
 この日、同市内では東日本大震災後の開催を見送っている気仙地区を除き、全地区で一斉に敬老会が開かれた。
 小友地区では小友小体育館を会場に開催。招待者は75歳以上で、昨年より33人増えて491人となり、このうち161人が出席した。
 吉田豊司コミュニティ推進協議会長は、「皆さんは激動の時代を乗り越えられ、今日の発展に尽力された。東日本大震災で大きな被害もあったが、仮設住宅の取り壊しが始まり、通常生活の足音も近づいている。きょうは、お楽しみいただける催しを用意しているので、ごゆっくりお過ごしください」と、健康長寿の願いも込めながらあいさつした。
 引き続き、米寿の14人、89歳以上の74人に市や同協議会、陸前高田ライオンズクラブからの記念品が贈られた。
 余興は、小友保育所の子どもたちの権現様、小友小1、2年生のよさこいソーランで開幕。出席者は子どもたちの「これからも元気で長生きしてください」の呼びかけに目を細め、心づくしの料理も味わいながら、和やかに交流を深め合っていた。

 

高台での初開催も、大船渡は3地区9地域で

 

境谷上甫嶺部落会長の音頭で乾杯し、地域全体で長寿を祝った=三陸町越喜来

境谷上甫嶺部落会長の音頭で乾杯し、地域全体で長寿を祝った=三陸町越喜来

 大船渡市では18日、各地区公民館が主催する敬老会がピークを迎えた。地域全体で高齢者の労苦をねぎらうとともに、長寿を祝った。この日は3地区9地域で敬老会が行われた。このうち越喜来地区公民館(刈谷喜記館長)が主催する甫嶺地域の敬老会は、10月9日(日)に落成式を控えた甫嶺地域防災コミュニティセンターで行われた。
 甫嶺地域では、東日本大震災津波によって公民館が流失して以降、旧甫嶺へき地保育所に公民館機能を移転。敬老会は越喜来小学校体育館を借りて行われていた。
 同センターは、甫嶺駅から西に200㍍ほど離れた高台に所在し、避難所、炊き出し拠点施設、防災備蓄倉庫の各機能を備えている。
 こけら落としを兼ねて行われた敬老会には、対象となった75歳以上の高齢者や市の佐藤高廣統括監ら来賓合わせて60人余りが出席した。同地区では他にも6地域の公民館で敬老会が行われていたため、刈谷館長は欠席したが「みなさんの献身的な努力で地域が発展してきた。大震災から5年半が経過したものの、本格的な復興は成し遂げられていない。近い将来、みんなが安心して暮らせる郷土になることを願う」と手紙が読み上げられた。
 85歳や88歳などの年齢到達該当者に市や市社会福祉協議会からの祝い金や長寿座布団などの記念品が贈られたあと、上甫嶺部落会の境谷君雄会長の音頭で乾杯。祝宴では、甫嶺獅子舞が披露されたほか、甫嶺婦人部が踊りを発表。参加者は演目が終わるたびに拍手を送るなど、大いに楽しんでいた。

 

若さで〝花〟添える、学生ボランティアの参加も/住田町

 

住民や学生ら約30人が参加した大洞自治公民館の敬老会=上有住

住民や学生ら約30人が参加した大洞自治公民館の敬老会=上有住

 住田町内の各自治公民館ごとによる敬老会は18日、各地で行われた。町内の高齢化率は40%台に突入し、自治会活動を支える青壮年層確保にも苦労する中で、ボランティア活動で町内に滞在している大学生が運営に携わる光景も。各地に集った住民たちは、古里を支え続けてきた人々の長寿を祝い合い、地域の発展を誓った。
 同日は10を超える会場で催され、各地に紅白幕が飾られた。このうち、14世帯で構成する上有住五葉地区・大洞自治公民館(紺野孝館長)での敬老会には、いわてGINGA―NETによるプロジェクトの一環として、同地区公民館を拠点に1週間の日程で各地で活動している岐阜大や宮崎産業経営大などの学生ら5人が参加した。
 公民館前では、地域住民から指導を受けながら炭火によるサンマやイカ焼きに奮闘。昼食としてみんなで味わう〝おふるまい〟づくりを通じて地域住民と交流を深めたほか、開会後の祝宴・懇談にも同席して会話を弾ませ、活気をもたらした。
 宮崎県・宮崎産業経営大学3年の大坪冬輝さん(21)=長野県出身=は「地域そのものが家族のような雰囲気。その中に私たちを温かく迎えていただき楽しい」と話していた。
 住田町における4月1日現在の高齢化率は41・14%。地域単位でみると、大洞をはじめ50%を超えた地域も出ているとされる。紺野館長(58)は「若さで花を添えてくれたね」と語り、学生たちの活躍ぶりに目を細めていた。

 

入居者らの長寿祝う、40周年の成仁会各施設で催す/大船渡

 

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100歳以上をはじめとする入居者の長寿を祝福=百年の里

 今年創立40周年を迎えた大船渡市の社会福祉法人・成仁会(山崎シゲ会長)の敬老会は11日から19日にかけ、各施設で開かれた。このうち、18日には立根町の成仁ハウス百年の里で催され、入居者やその家族ら約300人が出席。記念品贈呈や多彩なアトラクションなどを行い、入居者らの長寿を祝福するとともに健やかな毎日を送れるよう願った。
 昨年開所した百年の里では、2回目の敬老会。山崎会長は「戦後70年余り、幾多の困難を乗り越えて力強く生き、平和で豊かな日本を築かれた。また、東日本大震災を経験され、今ここにいらっしゃる。これまでの人生のあり方とその功績に、心からの敬意と感謝を申し上げる。今後ますますお元気で、明るく、楽しく、安らかに過ごされるよう心から願う」と式辞を述べた。
 続いて、橋本英教衆議院議員、藤原良信元参議院議員が祝辞を述べ、県知事、大船渡市長からの祝福メッセージも紹介。記念品贈呈では市内最高齢・108歳の磯谷カノヘさんら100歳以上、満100歳、白寿、米寿、85歳となる総勢20人が登壇し、国や県、市、市社協、成仁会から祝い状などが贈られた。
 多くの祝福に、入居者らは笑顔。米寿の熊谷ミヨさんが代表してあいさつし、日ごろからの思いを込めながら感謝の気持ちを伝えた。
 田村誠県議会議長の音頭で乾杯後は、この日のために用意された祝い膳を囲んで歓談。職員や市内外の団体によるアトラクションも繰り広げられ、祝宴を盛り上げていた。

 

健やかな日常願い、入所者と家族ら和やかに/さんりくの園

 

米寿や100歳以上の入所・利用者に記念品が贈られた=さんりくの園

米寿や100歳以上の入所・利用者に記念品が贈られた=さんりくの園

 社会福祉法人三陸福祉会が運営する大船渡市三陸町越喜来の介護老人福祉施設・さんりくの園(及川岩治施設長)の敬老会は18日、同施設で開かれた。出席した入所・利用者は、家族らとともに長寿を祝い、今後も健やかな日常を過ごせることを願っていた。
 敬老会には入所者やショートステイ、デイサービス利用者とその家族60人余りが出席。はじめに、同会職務代理を務める熊谷憲治さんが「みなさんが社会に尽力して豊かな日本をつくりあげたことに感謝する。これからも家庭のようなあたたかい場を提供できるように頑張りたい」とあいさつした。
 祝電が披露されたあと、米寿の88歳と100歳以上の入所・利用者9人に、それぞれ同会や政府、県からの記念品が贈られた。
 このあと行われた余興では甫嶺獅子舞が登場。獅子舞や子どもたちの剣舞が披露され、入所者らは迫力ある舞に大きな拍手を送っていた。