高齢者を守る存在に、むせんでつなぐ・みまもり隊/大船渡署(別写真あり)
平成28年9月21日付 7面

高齢者などの交通事故を水際で防ごうと、大船渡警察署(髙橋仁署長)は20日、「交通安全むせんでつなぐ・みまもり隊」を結成した。この日、大船渡市大船渡町の橋爪商事㈱本社駐車場で隊員となる岩手県気仙生コンクリート協同組合(宮澤信平理事長)の生コンクリート車ドライバーへの委嘱状交付式と出発式が行われ、ドライバーたちは高齢者を事故から守る存在になることと自身の安全運転意識の向上を誓った。
運転手112人を委嘱/気仙生コン協組
交通死亡事故のおよそ7割を占める高齢者の事故を防ぐため、県警では昨年から「高齢者見守り通報制度」に取り組んでおり、同みまもり隊もこの制度の一環。気仙地区では復興工事に伴って大型トラックなどの往来が多いこともあり、高齢者ら交通弱者の交通死亡事故を防ぐ水際対策として、同協同組合の協力のもと、会員の事業所に所属するドライバー112人を隊員に委嘱した。生コンクリート協同組合に委嘱状を交付するのは県内で初めて。
早朝・夜間に道路の真ん中を歩いているなどの危険行動をとる高齢者を発見したドライバーは、事業所へ車載無線で連絡。同署は、事業所からの通報を受理すると現場に急行し、該当する高齢者の安全確保や保護に当たるほか、その家族に連絡して事故防止を図る。
同組合会員が保有する生コン車や試験車は合わせて107台で、「交通安全むせんでつなぐ・みまもり隊」と書かれたステッカーを貼って職務に当たる。
委嘱状交付式には、同署の髙橋署長や同組合の宮澤理事長のほか、組合会員やドライバーら50人余りが参加した。
髙橋署長は「みまもり隊は、当署と生コンクリート協同組合が協働して行う交通弱者保護対策。気仙は復興が着実に進む転換期にあるが、物流サービスの要であるみなさんには、交通弱者を守る存在としても頑張ってもらいたい」とあいさつし、宮澤理事長と松田商事㈱(大船渡市大船渡町)の向澤峰子さんに委嘱状を手渡した。
向澤さんが「積極的な通報と交通ルールを守った安全運転に徹することを誓う」と決意表明したあと、宮澤理事長が「高齢者のみなさんが事故にあわないようにと目を光らせていれば、ドライバーの安全への意識も高まっていくのではないか。これからは夕暮れが早くなり、事故が多くなる。悲しい事故がなくなるように頑張ってほしい」とドライバーを激励した。
交付式後には、同組合会員のトラック10台による出発式が行われた。会員らが手を振って見送るなか、事故防止への決意を胸にしたドライバーが駆る生コン車がさっとうと走り出していた。