サンマ漁9月は好調、数量まとまり始める/大船渡

▲ 21日には今季最多となる410㌧のサンマが水揚げされた=大船渡市魚市場

 大船渡市魚市場へのサンマ水揚げが始まって約1カ月。8月中は台風の影響もあって水揚げ量は前年を下回っていたが、9月に入ってからは次第に数量もまとまり、20日現在で1895㌧と前年を629㌧上回っている。これに伴い、1㌔当たりの平均単価(税込み)は397円と前年同期よりも下がって落ち着きをみせ始めている。10月中旬には三陸沖に漁場が形成されるという予報も出ており、秋の味覚として市民に親しまれている大衆魚・サンマの今後の安定した水揚げ、価格動向に注目が集まる。

 

20日現在で1895㌧水揚げ


 平成27年のサンマ漁は全国的に不漁に見舞われ、同魚市場では水揚げ量が前年比49・5%減の1万3684㌧にとどまった。水揚げ量、金額ともに全国2位、本州1位となったものの、漁ピーク時も不調が続く厳しい漁況のまま終漁した。
 今期の大船渡へのサンマ初水揚げは8月24日で、33㌧が水揚げされた。8月は連続して台風が発生した影響もあって水揚げは2回しか行われず、同月末時点で比較すると数量は前年の約6割減、金額は約3割減と低調に推移した。
 天候や海況が落ち着きをみせはじめた今月5日以降は水揚げ量が増加。一日の水揚げ量も100㌧を超えるようになって巻き返しをみせ、21日には今季最多となる410㌧のサンマが水揚げされた。
 20日現在の入港隻数は32隻で前年比2隻増、金額(税込み)は7億5264万円で同2億2600万円増となっている。
 市魚市場を運営する大船渡魚市場㈱の佐藤光男専務は「サンマは物量があるだけに、市の経済への影響も大きい。現状の漁が続いて、経済の起爆剤になってくれれば」と豊漁へ期待を込める。
 数量増により価格は下がり始めているものの、大衆魚としてはまだ高値状態。市内のある問屋は「もう少し安ければいいけど、値段はだいぶ下がってきた。このぐらいの値段ならば冷凍屋さんも買えるのではないか」と、買受人の一人は「もうちょっと安く買いたいなというのが本音。今ぐらいの漁が続いて、値段が落ち着いてくれれば」と安定した水揚げを願っていた。
 一般社団法人漁業情報サービスセンター(東京都)が20日に公表した第2回サンマ中短期漁況予報によると、今後、道東海域では9月下旬からゆるやかに来遊量が増加するものの低位水準であり、三陸海域では10月中旬に来遊があるとしている。同旬は低位水準だが、11月中旬には中位水準になるとし、10月中旬は三陸中部、同下旬から11月上旬は中部~南部が漁場になると予測している。