「雪っこ」を初出荷、酔仙酒造・大船渡蔵で/猪川町(動画、別写真あり)

▲ 今季初の雪っこを乗せたトラックを見送る社員ら=猪川町

 陸前高田市の酔仙酒造㈱(金野連社長)は1日、大船渡市猪川町に構える大船渡蔵で、冬季限定で販売する「活性原酒雪っこ」を初出荷した。出荷式で社員らは「多くの人に今季の味を楽しんでもらいたい」と、商品に思いを託した。
 雪っこは昭和45年から販売されている同社の主力商品。毎年『日本酒の日』の10月1日に初出荷を行っている。
 この日、出荷式に臨んだのは社員ら約30人。新酒ができたことを知らせる杉玉を清める神事が行われたあと、完成した雪っこを乗せ、県内販売店へと出発したトラックを見送った。
 同社によると、昨年度の雪っこの出荷数量は13万2175㍑、アルミ缶(180㍉㍑)換算で73万4000本以上。本年度は14万0029㍑、アルミ缶換算で77万8000本の予定で、中旬以降から関東など県外への出荷を見込んでいる。
 同社は陸前高田市高田町内に本社や酒蔵を構えていたが、震災津波で施設を流失。その後、岩手銘醸(奥州市前沢区)が支援提供した玉の春蔵(一関市千厩町)で再開し、平成24年8月には大船渡市猪川町内に大船渡蔵を設け、地元での再スタートを切った。
 同蔵で初出荷を迎えるのは震災後5回目。金野社長は「今季初の雪っこはまろやかな味わいが特徴。お客様からどんな反応が返ってくるか今から楽しみ」と反響に期待しながら、「今年も初出荷を迎えることができたのは、社員が一体となって酒造りに臨んできた成果であり、とてもありがたい。これからも酒を通じ、被災地が頑張っているという姿を発信していければ」と話していた。