市内801戸の災害公営住宅整備完了、下舘下(盛町、県主体)が竣工/大船渡
平成28年10月5日付 1面

岩手県が大船渡市盛町下舘下地内に建設していた災害公営住宅・下舘下アパート(RC7階建て、58戸)がこのほど、竣工した。管理は市が担当し、県から建物の引き渡しを受けたのち、今月末からの入居を予定する。下舘下の完成により、市、県それぞれが建設を進めてきた市内整備分の災害公営住宅は、25団地801戸すべてで完了。市内における住まいの復興は、一つのめどがついた。市は今後も、被災者の住まい確保に向けて取り組みを進めていく。
住まい復興に一つのめど
今月末から入居予定
平成23年の東日本大震災では、市内の5581世帯が全壊などの被害を受けた。市は被災者らの住まい再建に向け、県とともに災害公営住宅の整備を推進。28年度までに市主体では16団地290戸、県主体では9団地511戸を建設することとし、23年から順次工事に入った。
24年度には、市内第一号となる田中東団地(木造2階建て3棟、12戸)が落成し、その後も各地で災害公営住宅が竣工。今年7月には、市主体としては最後の整備となった大船渡町の野々田アパート(RC5階建て、50戸)が大船渡駅周辺地区土地区画整理事業区域内に完成し、残るは下舘下のみとなっていた。
下舘下は県が整備をし、管理を市が担う災害公営住宅。大船渡警察署のそばにあり、津波で被災し、解体された市農協会館と本店事務所の跡地(敷地面積4751・38平方㍍)に建設された。
設計は24年度にスタート。26年度から今年9月末までの工期で、施工が進められてきた。
完成した7階建てのアパートは、1階に駐輪場や倉庫などを設け、2階から7階を住戸に充てた。住戸の内訳は2DK46戸、3DK12戸となっている。
市によると、58戸すべてで入居者が内定済み。建物は今後、市議会の議決を経て県から取得後、今月末からの入居開始を予定している。
市内の災害公営住宅における入居率(内定を含む)は、9月末現在で92%。空き室が生じた場合は市の広報、ホームページなどを通じて募集を行っていくという。
災害公営住宅はハード面での整備を終え、今後は団地ごとの入居者間によるコミュニティー形成といったソフト面での支援、対策が重要となる。また、30年度からは応急仮設住宅の特定延長を受け入れる方針にある中、仮設入居者らの次の住まい確保に向けたバックアップなども求められる。
戸田公明市長は、「現在計画している市内の災害公営住宅の整備は全ての工事が完了するが、引き続き、住まいの確保については、応急仮設住宅の学校敷地からの撤去及び集約化等を見据えながら、全力で取り組んでいく」と話している。