地産地消へ新商品誕生、10日から中田商事のヤーコン焼酎販売/陸前高田
平成28年10月6日付 7面

仕出し弁当の製造・販売や食材の卸売業などを手がける陸前高田市高田町の㈱中田商事(安達清次社長)は10日から、地元産ヤーコンを使った本格焼酎を販売する。同市では震災前から特産品として注目されてきた食材で、約2年をかけて商品化し、限定2400本を生産。震災からの再起へ奔走する安達社長(55)は「少しでも地域の活性化につながれば」と期待を込める。
限定2400本生産
小泉公民館そばに事業所を構える同社。長年地域に親しまれてきたスーパー「ナインマート」を震災後の平成23年7月に復活させ、仮設店舗で経営してきたが、同店は一昨年12月に閉店した。
一方、震災後は地場産品の魅力を伝える事業にも力を入れてきた。地域内外の企業などが手を携え、気仙が誇るツバキの油を使った商品を開発する「三陸椿ドリームプロダクツ」にも協力している。
そんな中、着目したのが低カロリーながら栄養豊富な根菜のヤーコン。同市では震災前、実を搾ったジュースなどが販売されていた。
同社は長年、地元農家からヤーコンを仕入れ、給食などで小中学校、保育園、介護施設に卸しているが、ひび割れなど傷がつきやすく納入できないものもみられるため加工品としての使い方を模索。焼酎の原料に使おうと決めた一昨年から本格的に取り組み、地元のイベントで試飲の場を設けるなどしてきた。
製造は秋田県発酵工業㈱に委託。収穫期の昨冬に仕入れた約1㌧を使用し、製造元で今季のヤーコン入荷直前まで焼酎をたるで寝かせ、熟成させた。
芋焼酎に分類されるが、クセがなく、甘い香りとさらりとした口当たりが特徴。ラベルには陸前高田市の復興の象徴「奇跡の一本松」をあしらった。
720㍉㍑瓶1620円(税込み)で、箱入りで1770円(同)。アルコール度数は25度。
安達社長は「試飲時には『海産物にも合う』と漁業者さんたちからのお墨付きももらった」と語り、「まだ眠っているものを掘り起こせば高田の魅力はさらに増す。ゼロからのスタートを前向きにとらえ、さまざまなことにチャレンジしたい」と意気込む。
ヤーコン焼酎は同社事業所で販売するほか、気仙両市内の飲食店を対象に取扱店を拡大していく構想。市のふるさと納税事業の返礼品にも入れる予定。問い合わせは同店(℡54・4100)へ。