ゆべしと赤飯学ぶ、古里の味を未来に/住田で「気仙味の伝承会」(動画、別写真あり)
平成28年10月7日付 6面
食の匠気仙地方連絡会と大船渡地方農業振興協議会による「気仙味の伝承会」は6日、住田町保健福祉センターで開かれた。参加者は食の匠とともに郷土料理の「ゆべし」「赤飯」に挑戦し、手を動かしながら奥深さとおいしさに理解を深めた。
気仙で認定を受けている食の匠や、平成24、25年度に行われた気仙の味伝承セミナー修了者が味や技術を広めようと活動し、本年度で3年目。食文化を担う伝承者の育成などを狙いとしている。
昨年からは、気仙3市町を巡回する方式で開催。9月の大船渡会場に続く講習会には、郷土料理に関心・意欲がある町内在住者ら25人が参加した。
ゆべしを指導したのは、陸前高田市広田町の熊谷チエ子さん。冠婚葬祭などでなじみ深いほか、盆や正月時期に里帰りした親戚らに手みやげとして持たせるのが習わしとされる。ニッケと呼ばれる薬味などを効かせるのが気仙の特徴の一つに挙げられるという。
講習ではボウルに粉やザラメ、みそ、薬味を入れてよくかき混ぜ、お湯を加えながらこねたあと、蒸し器にちぎりながら入れた。蒸し上がって粗熱をとったあとは砂糖を入れ、さらにクルミなどを加えながら再びこねて調理。参加者は熊谷さんの手作業から、固さの見極めなど一つでも多く技を学ぼうと、熱い視線を送った。
熊谷さんが竹の巻き簀で成形して完成させると、参加者からは歓声が上がった。熊谷さんは「力を入れてよくしとねる(こねる)ことが、おいしく仕上げるには大切」と話していた。
一方、もち米とあずきによる昔ながらの赤飯を指導したのは住田町下有住の紺野チエ子さん。ふんわりと仕上がる水加減の大切さや、あずきの煮汁を活用することで色やおいしさが引き立つといったコツを伝えた。
参加者は蒸し器から湯気が立つ間は談笑を楽しむなど、なごやかな雰囲気の中で学習。伝統的なゆべしや赤飯の技を知る住民は少なくなっている中、家庭での実践や子ども会など行事を生かした普及への意識も高めた。陸前高田での開催は12月を予定している。