ゼミ列車で見聞広める、県大宮古短期大学部生ら/三鉄南リアス線(別写真あり)

▲ 震災後に育った海産物に触れ、浜の復興を感じ取る学生ら=三陸町吉浜・根白漁港

 県立大学宮古短期大学部(鈴木厚人学長)の学生らが8日、三陸鉄道南リアス線(釜石─盛)の企画「大学ゼミ列車」に参加し、沿線地域を視察した。大船渡市内の漁港や駅舎を回り、地域住民の〝生の声〟を聞きながら、被災地の復興や支援のあり方について見聞を広めた。
 三陸鉄道は、東日本大震災の記憶を次世代につなぐため、「震災学習列車」や「被災地フロントライン研修」などの企画を展開している。
 大学ゼミ列車は、学生が被災地域の住民との交流などを通し、復興の状況を体感できる内容。すでに北リアス線では行われており、今回初めて南リアス線で実施されることになった。
 この日は、同大学部の1、2年生と教授ら合わせて約30人が参加。列車やバスで移動し、同市三陸町吉浜の根白漁港や同町越喜来地区、市街地などを回った。
 このうち根白漁港では、地元の若手漁業者らでつくる「吉浜元気組」の千葉豪会長が学生らを歓迎。震災がもたらした同漁港への被害を語ったうえ、「直後は釣り船を利用する人がいなかったので、代わりに船を活用して震災ガイドを行った。現在は漁場も落ちつき、震災前の業務に戻りつつある」などと、5年半にわたるまちの変化を伝えた。
 その後、吉浜湾でとれたホタテの炭火焼きや、ムール貝を使った温かい汁物などのおいしい浜料理を提供。学生らはホタテを焼く前に、貝についたフジツボなどを落とす作業も体験して漁業の魅力にふれた。
 移動中の列車やバス車内では、三鉄総合企画アドバイザーの草野悟さんや、元盛小校長の平田功さんらがガイドを務めた。
 同大学部2年の大森一輝さんは「沿岸南部は、宮古よりも被災のあとが色濃く残っている感じがする。実際に地元の人の声を聞き、復興に向けての努力や気持ちを知ることができました」と学びを深めた様子。
 三鉄旅客サービス部の橋上和司担当部長は「震災後から南リアス線がつないできた縁を生かせる企画。県内外問わず、今後ぜひ多くの大学に利用してもらえれば」と呼びかけている。