火石仮設13戸払い下げへ、町内2団地体制に/住田町
平成28年10月14日付 1面
住田町は、東日本大震災を受けて世田米に整備した応急仮設住宅火石団地全13戸の払い下げを行う。同団地の敷地内は道路改良整備用地として活用される計画で、今月中に入居者がゼロとなり供与終了を迎える。戸建ての木造で、エアコンや風呂、キッチンなどの附帯設備も含み価格は1戸3万円。解体費は自己負担となる。町内に住所がある個人、法人を優先するが、他市町からの応募も可能。一般向けの払い下げ対応は今回が初となる。11月2日(水)まで申し込みを受け付ける。
独自の木造戸建て住宅、一般住民や法人も申請可能
町は震災前から、地元の木材や技術を生かそうと災害時に使える木造仮設住宅を検討。平成23年3月11日に襲った未曾有の大津波によって気仙両市では多くの住宅が流され、沿岸部全体をがれきが覆った中、町は3日後に木造仮設住宅の建設を決断した。
町営住宅や旧幼稚園の各跡地、旧小学校の校庭を利用し3団地に計93戸を整備。火石(世田米、13戸)は同年4月25日、本町(同、17戸)は5月6日、中上(下有住、63戸)は同23日に完成した。
プレハブの仮設住宅は長屋構造が中心だが、町は戸建て型で整備。2LDKで風呂やトイレを完備し、壁は断熱材を木材で挟む構造とした。
木造独特の温もりや香りに加え、戸建ては長屋構造よりも音漏れの心配が少なく、プライバシーが守りやすい利点も。完成後も入居者からの要望に応え、改修工事を進めた。
完成当時は3団地計261人が生活を送った。気仙両市などで住宅再建施策が進む中、現在は30世帯70人ほどで推移している。
陸前高田市横田町側の国道340号近くに位置する火石団地の敷地内は、今後行われる同国道改良工事の対象地となっている。町によると、最近は数戸で入居利用があり、住民は町内の仮設住宅や町営住宅に移る。
町は2年前から、住宅再建に至った入居者らに払い下げを実施。火石に関して入居者に打診したところ再利用の申し出がなく、今回初めて一般住民や法人にも対象を広げることになった。
13戸すべて同じ構造で、床面積は29・81平方㍍(9坪)。カラマツ材の杭基礎で、土台や柱、床にはスギの板や集成材を用いている。
建物本体に加え、エアコンや風呂、便座、キッチン、太陽熱温水器、物置、風除室などすべての附帯設備を含む。マツ杭から上部が対象で、水道は止水栓からとなる。
対象者は個人や法人とし、任意団体も含む。希望者が多い場合は、町内に住所がある者を優先しながら、審査や抽選で決める。町はさらに「公益性のあるもの、森林林業日本一の町づくりのPRになるものを優先する」としている。
価格は一式で3万円。原則1者1棟だが、希望者が少ない場合は複数棟の払い下げに応じる場合もある。11月中に決定、不決定の通知を申請者全員に送付する。
現状引き渡しとし、解体・取り外し、移設費、運搬費といった再利用経費は払い下げを受ける個人・団体が負担。決定から2週間以内に代金を納入し、来年2月末までの撤去を求める。
町内の仮設住宅は2団地体制となるが、現時点で本町、中上に関する集約や撤去の計画はない。町は「最後の1世帯が住宅再建を果たすまで」と、震災直後と変わらぬ運営方針を掲げる。払い下げの問い合わせは町総務課管財係(℡46・2112)へ。