「漁業者の甲子園」へ、綾里漁協青壮年部 が漁村実績発表会で最優秀賞/大船渡

▲ 8組合の中から最優秀賞に選ばれた綾里漁協青壮年部=盛岡市

 大船渡市三陸町の綾里漁業協同組合(佐々木靖男代表理事組合長)青壮年部はこのほど、県と岩手県漁業協同組合連合会が主催する第58回漁村活動実績発表報告会で最優秀賞に輝いた。同漁協が築いてきた生産者と消費者の新しい関係についての発表が評価されたことに、関係者は喜びに包まれている。同漁協は、「漁業者の甲子園」といわれる第22回全国青年・女性漁業者交流大会に県代表として出場する。

 

 同大会は、県内漁村の青壮年と女性の活動状況について、事例発表と研究討議を行い、漁業生産や養殖の技術・知識の総合交流と活動意欲の向上を図るもの。活動の成果を普及促進し、震災復興に取り組む沿岸漁業などの進行に寄与する。
 今大会は盛岡市の県水産会館で行われ、県内8組合が参加。煙山彰県水産技術センター所長らが審査に当たった。
 綾里漁協の発表は「つくる人と食べる人の新しい関係」。
 同漁協では、平成15年から消費者への水産物の直送を行っており、16年に「早採りわかめ」を、20年に「恋し浜」を商標登録したほか、中学生を対象とした水産教室など、さまざまな取り組みを進めている。
 東日本大震災の発生後、ホタテやワカメで綾里を知った人たちがボランティアとして来大。
 ダイバーたちはNPO法人三陸ボランティアダイバーズを組織し、同漁協とともに海底に沈んだガレキの撤去に力を尽くした。
 また、同漁協では花巻市のNPO法人・東北開墾が発行する「東北食べる通信」で恋し浜ホタテが特集されたのをきっかけに、「綾里漁業食べる通信」を創刊。これを見て「もっと漁業を知りたい」と綾里へ足を運ぶ読者が増えたことから、「恋し浜ホタテデッキ」という生産者と消費者の交流スペースも作られた。
 生産者らがこの交流スペースを会場にした「浜の学び舎」セミナーで綾里や漁業の魅力を伝える一方、食べる通信の読者たちが、同漁協のファンクラブを組織。海産物を買ってイベントや店舗で販売するケースも出ている。
 ファンクラブ会員は、首都圏を中心に約140人おり、イベントなどでの売り上げは綾里への旅行資金やTシャツなどのグッズづくりに充てられているという。
 これらの生産者と消費者をつなぐ取り組みは、東京オリンピック・パラリンピックの東日本大震災被災地復興支援映像「2020年。東京と東北で会いましょう」に結実する。映像の中核をなしているのは、世界各国の国旗を掲げた大漁船団が疾走するシーンで、綾里漁協が全面協力している。
 発表では「このシーンは、さまざまな取り組みを進めていった結果。映像が綾里で撮られたことは私たちの誇り」と締めくくった。
 来年3月開催予定の全国大会は「漁業者の甲子園」とも言われる大舞台。
 同漁協では、発表内容に最新情報を追加して、全国に綾里の取り組みを発信するつもりだ。