医療費窓口負担に関し、減免求め署名818筆提出/陸前高田市の被災者ら (別写真あり)

▲ 戸羽市長㊧に集めた署名を手渡した山田さん=市役所

 陸前高田市内の仮設住宅などに暮らす市民有志が21日、陸前高田市役所を訪れ、戸羽太市長に被災者の医療費窓口負担免除継続を求める署名を手渡した。有志らは「いまだ苦しい生活を送る震災被災者の現状を知ってほしい」と訴えた。

 同日は米崎地区・被災者交流の会の金野ミエ子さん、広田町の戸羽忠夫さんをはじめとする市民7人と、日本共産党会派の藤倉泰治、大坪涼子、伊勢純の3市議が市役所を訪問。住民らが地域内や仮設住宅団地で集めた署名818筆を市長に提出した。
 このうち横田中仮設で暮らす山田利男さん(81)が代表し「仮設住宅で亡くなった人、入院した人も多い。災害公営住宅へ移ったり、家を再建する人でも余裕のある住民は少なく、実情は厳しい。仮設住宅での大変な状況を考え、この減免措置を継続してほしい」と要望。通院のためにかかる交通費もかさむことなど、現状について訴えた。
 これに対し市長は「医療費の窓口負担免除は国が8割、県と市が1割の負担で実施しているが、県も継続の意向を示している」と、県および市の足並みはそろっている旨を語り、国からも被災者支援の継続実施に関する通知が来ていると報告した。
 また「これは国民健康保険に対する支援であり、社会保険とのバランスをどうとるかについては議論もあるが、線引きをするにしても本当に困っている人に対する支援を明確に打ち出してもらえるよう、みなさんの思いを伝えていきたい」とし、市として国へ訴えていく姿勢を示した。
 被災者の国民健康保険と後期高齢者医療保健の窓口負担免除措置は当初、平成27年12月末までとなっていたが、今年末まで延長。しかし発災から5年半が経過した現在も仮設住宅で暮らす人たちの中には、疲労と不安の蓄積、加齢などによって健康状態が悪くなるケースも見られることから、来年1月以降も延長してほしいとして有志らが署名を呼びかけ。9月の同市議会定例会でもこれと同じ請願が賛成多数で採択された。