〝小さい町〟連携展開模索、森林認証活用へ住田・岩泉・南三陸

▲ 行政や森林組合の関係者が集まり情報共有=住田町

 FSC(森林管理協議会)の森林認証制度に基づく森林管理認証を取得している住田町と岩泉町、宮城県南三陸町の南三陸森林管理協議会が連携し、認証製品の開発、販売などの事業化に向けた模索を続けている。各町単位では展開に難しさがある広葉樹などの販路開拓につなげようと、関係各団体がスクラムを組んで量を確保するスケールメリットを生かした事業化を描く。現段階では広葉樹を生かした家具生産や合板用のアカマツ出荷、公共建築物のFSC認証製品活用促進などを見据えている。

 

スケールメリット意識、合板・広葉樹活用など見据え

 

 連携組織「3 Trees net.」は本年度に入り協議の場を設け、6月に名称などが決まった。南三陸町などで構成する南三陸森林管理協議会、住田町、岩泉町が参画している。
 25日には住田町役場で会議が開かれ、同協議会や住田町の関係者に加え、同町とグループを組み森林認証を受けている気仙地方森林組合職員、近く認定を得る見込みの宮城県登米市、登米町(とよままち)森林組合、同県の関係者ら約10人が出席した。
 この日は広葉樹林の活用による製品展開や合板用のアカマツ材出荷、組織規約のあり方などについて協議。森林認証制度の運用や審査に関する情報交換も行われた。
 住田町の森林認証グループは平成16年3月に取得。現在の対象面積は1万3897㌶。このうち、町有林が8722・6㌶、私有林は5174・8㌶となっている。町有林における人工林はスギをはじめとした針葉樹で占めるが、天然林には広葉樹が多い。
 3町における認証森林面積は約2万5000㌶となっている中、広葉樹を製材加工し、登米などでノウハウがある家具製造や伝統工芸職人との連携を描く。このほかにもFSC認証紙製品の製造展開に向けて材を供給し、ラグビーW杯や東京五輪といった国際イベントへの参入も見据える。流通や販売にとどまらず、各町における広葉樹林の天然更新促進にも期待を込める。
 本格的な事業化に向けては、年間を通じた安定供給や広葉樹の実態調査の必要性、広葉樹伐採時の効率性など、課題も多い。一方で会議では「広葉樹は出せば売れる」といった声が出るなど、出席者は小さな町が連携することでまとまった量の材を流通させるスケールメリットの重要性を再認識した。
 今後も加工や流通、販売などの事業体や設計事務所などと調整をとり、各種FSC認証製品の販路開拓、公共建築物などでの製品施工を促進させたい考え。東日本大震災や台風被害を受けた各地域が復興に向けて連携している独自性の発信にも意識を置き、認証森林を生かした地域活性化を図ることにしている。
 南三陸森林管理協議会の佐藤太一氏=㈱佐久専務取締役=は「基本は、各地ですでに市場形成されている材には手を伸ばさず、余っている材の活用を考えたい。広葉樹は商品としてあまり扱っておらず、育ててきていなかった。FSCという同じフィールドの中で、安定的に商品をつくることができる環境を目指したい」と語る。