在宅でも働ける場を、テレワークセに拠点開設/大船渡市

▲ 大船渡CCが正式稼働し、地元の作業者らが業務に従事=盛町

  大船渡市が運営する盛町のふるさとテレワークセンター内にこのほど、東京都のコグニティ㈱(河野理愛代表取締役)と同市の㈱地域活性化総合研究所(地活研、新沼謙治代表取締役)が地方解析拠点「大船渡CC(コグニティブ・センター)」を開設した。仕事は時間、場所を選ばずにでき、現在は地元採用の10人がセンター内や自宅でデータ解析業務に従事。勤務先での仕事が一般的な中で在宅による新たな働き方を提案しており、子育てや介護などのためにフルタイムで働けない人材の活用、仕事創出の場として期待される。

 

地元から作業者採用、コグニティと地活研


 コグニティは平成25年に設立。ソフトウエア技術における人工知能(AI)領域の技術を得意としている。営業トークやレポートなどから人の思考、表現パターンを比較解析し、AIに蓄積。このデータを用いた解析サービス「UpSighter(アップ・サイター)を提供し、企業からの受注が相次いでいるという。
 同サービスの需要拡大により、同社ではさらに多様な分野に対応したいと新たな解析拠点設置場所を模索。そんな中、同社が優秀賞を受賞したビジネスプランコンテストの運営者である㈱日本総合研究所から、スタートアップ支援の一環として地活研を紹介された。
 「東日本大震災の被災地に新たな仕事を」との考えもあり、コグニティは地活研を運用委託先とした大船渡CCを開設。先月26日に正式稼働を開始した。
 開設に当たっては、9月から大船渡市内の子育て支援施設や母親らが集まる店舗などに求人情報を配布。気仙3市町から10人を採用して業務委託契約を結び、事前のトレーニング期間を経て、実務を開始した。
 作業者らはパソコンやタブレット端末を使用し、自宅、テレワークセンターなどで業務。地活研によると、作業者のほとんどは女性で30~40代が多く、子育てや介護の合間の仕事、副業などとして従事しているという。月25時間以上の従事が条件で、あとはそれぞれの時間や業務レベルに合わせて仕事を受けることができる。
 テレワークセンターでの業務には、オープンに活用可能なコワーキングスペースとスマートフォンで鍵の開閉などを管理するセキュアスペースを活用。子ども連れでも仕事ができ、作業者同士がコミュニケーションを図れる環境整備も進める。作業者からは「時間が自由に取れて働けるのはありがたい」「大船渡でこのような仕事に出合えるとは思わなかった」といった声が寄せられているという。
 コグニティと地活研は大船渡CCの作業者を今後も増員し、本年度末には18人にまで拡大したい考え。増員によってデータベースの強化、多くの受注案件への円滑な対応を目指す。現在は2回目となる作業員の募集を行っており、市内外から問い合わせが来ているという。
 河野代表取締役は「子育て中の母親や介護中の方、特に介護Uターンは地方の方が顕著と聞く。そんな方々が働けるモデルづくりをしたい。今後ほかの拠点を立ち上げる際には大船渡の経験が生きるし、ノウハウを指導する人材も育つ価値ある場所になると考えている」と話す。
 新たな仕事創出の場に、戸田公明市長は「子育てや介護などに携わる方々の雇用創出につながる新たなスタイルとして、非常に期待できる取り組み。今後もIT活用を通じた『しごとづくり』や『働き方改革』に資する取り組みを官民連携で推進していきたい」と期待を寄せる。