アンテナショップ〝進水〟綾里漁協の「りょうり丸」 /花巻にプレオープン

▲ 大勢の客が詰めかけた店内=花巻市

 大船渡市三陸町の綾里漁業協同組合(佐々木靖男代表理事組合長)のアンテナショップ「りょうり丸」は29日、花巻市の花巻観光物産館「金婚亭」敷地内にプレオープンした。開店に先立ってオープンイベントの「進水式」が行われ、三陸の漁業者らと内陸の消費者をつなぐ店舗の船出を祝った。

 

 三陸と内陸つなぐ

 

 りょうり丸は、内陸住民や観光客に三陸の海の幸を食べてもらうことで、三陸の復興や綾里をPRするとともに、内陸と三陸の結びつきを強めようと出店が企画された。花巻市の㈱あやかぜ(佐藤寛志代表取締役社長)が主体となって店舗を運営し、綾里漁協は海産物の供給などを担う。
 この日は、スタッフとして綾里漁協の組合員ら40人余りが駆け付けた。
 駐車場で行われた「進水式」では、佐々木組合長が「大震災後、たくさんの人から励ましの言葉や支援をいただいた。ようやく復興に目途が立ったところで、このようなアンテナショップを作ることができた。ここの開店を綾里と花巻がつながっていく第一歩としたい」と宣言。
 あやかぜの佐藤社長と金婚亭の阿部ゆう子会長があいさつしたあと、綾里大権現が登場し、大迫力の舞で店舗の船出を祝った。さらに大権現の頭から餅がまかれ、場内は祝福ムードに包まれた。
 店内には水揚げされて送られてきたばかりのサンマ、タイ、ヒラメなどの鮮魚がズラリ。開店時から客でごった返し、店員らは鮮魚の補充に追われていた。
 また、カキなどは店内で焼いて食べられるとあって、早速購入したカキやホタテに舌鼓を打つ客も多く見られた。
 店舗の外では、焼いたサンマやホタテが販売されたほか、大船渡在住のミュージシャン「LAWBLOW」やガールズシンガーユニット「カメリアス」のライブも行われ、にぎわった。
 花巻市から訪れたという藤井清人さん(77)は「大船渡は先日行ってきたばかり。魚介類はたくさん食べるけど、やっぱり新鮮でおいしいね」と買ったばかりのカキをほおばっていた。
 佐々木組合長は「震災の時は内陸からもたくさん人が来てくれたので、少しでもその恩返しができればという思い。これをきっかけに綾里という地名を知っている人が増えてくれればうれしい」と話していた。
 佐藤社長は「出足は快調。はじめは天気も悪かったけど、たくさんの人が来てくれた。漁協直送の新鮮な魚介を楽しんでほしい」と笑顔をみせた。
 「りょうり丸」の店舗は、花巻市内西宮野目地内の金婚亭敷地内にあり、来週末にも正式にオープンする。店内は、鮮魚や加工品を販売する市場と飲食に分かれ、営業時間は市場が午前11時から午後2時まで。飲食が午後5時から同10時まで。市場の定休日は毎週月曜日。飲食は金・土・日曜日のみの営業となる。