防潮堤完成2年遅れに、大船渡と綾里両漁港海岸/県がロードマップ更新

▲ 大船渡漁港海岸の工事は2年遅れる=大船渡町

 

地元、他事業との調整などで

 県は、東日本大震災で被災した沿岸12市町村の社会資本整備の進ちょく状況についてまとめた「社会資本の復旧・復興ロードマップ」の最新版(9月30日現在)をまとめた。県内全整備個所764カ所のうち、412カ所(54%)で工事が完了。完成時期が1年以上遅れるのは42カ所、うち気仙では9カ所となっている。最長は大船渡市の綾里漁港海岸と大船渡漁港海岸で、それぞれ2年延長となった。


 ロードマップは被災者の今後の生活設計・再建などに資するよう▽海岸保全施設▽復興まちづくり▽復興道路など▽災害公営住宅▽漁港▽港湾▽医療▽教育──の社会資本の主要8分野について平成24年7月に策定。住民の合意形成や用地取得などの要因により工程の変化があり得るため、定期的(年4回程度)に情報を更新しており、このほど9月30日現在を基準日とする最新版が発表された。
 前回公表(基準日3月31日)以降に工事が完了したのは、大船渡市では海岸保全施設の碁石漁港海岸(末崎町)、災害公営住宅の関谷(立根町)、下舘下(盛町)、中赤崎山口団地(赤崎町)、区画整理地区(大船渡駅周辺地区)、漁港では吉浜漁港(三陸町吉浜)、砂子浜漁港(三陸町綾里)。
 陸前高田市ではまちづくり連携道路の主要地方道大船渡広田陸前高田線(花貝)が9月に供用開始、災害公営住宅の栃ケ沢(高田町)、大祝漁港(広田町)、矢の浦漁港(小友町)も完成した。
 一方、大船渡市の綾里漁港海岸、大船渡漁港海岸を含む県内5カ所が当初の予定より2年遅れる。
 両漁港は災害復旧に加えて防潮堤新設(海岸高潮対策事業)も行われている。綾里漁港海岸は、災害復旧で他事業との調整、防潮堤新設では住民との合意形成、大船渡漁港海岸の災害復旧は漁業者との調整、防潮堤新設では県道やBRT専用道との調整に時間を要した。
 海岸保全施設ではこのほか、大船渡市の崎浜漁港海岸(三陸町越喜来)、越喜来漁港海岸(同)、陸前高田市の広田漁港海岸(広田町)の災害復旧で約1年半、同漁港海岸の海岸高潮対策事業、六ケ浦漁港海岸(同)、長部漁港海岸(気仙町)でそれぞれ約1年遅れる。
 主な要因としては、地元や関係機関、他事業との調整、施工条件の変化への対応に日数がかかっていることが挙げられる。
 また、まちづくり連携道路の主要地方道大船渡広田陸前高田線(小友地区)がBRTとの調整により約1年9カ月、台風などの影響のために野野前漁港(三陸町綾里)が約1年遅れる。
 1年未満の遅れがあるのは、大船渡市では門の浜漁港海岸(末崎町)、吉浜漁港海岸(三陸町吉浜)、小石浜漁港海岸(三陸町綾里)、防災集団移転の永浜地区(赤崎町)、増館漁港(三陸町吉浜)、長崎漁港(赤崎町)。陸前高田市は国保広田診療所(広田町)、津波復興拠点高田北地区、災害公営住宅の脇の沢(米崎町)、三鏡漁港(広田町)となっている。