秋の褒章/松野氏(陸前高田)が受章、民生委員の活動たたえ

気仙から1人

 

 

松野 弘氏

松野 弘氏

政府は、2日付で発令する平成28年秋の褒章受章者を発表した。気仙からは、民生・児童委員の松野弘さん(73)=陸前高田市竹駒町字相川73の2=が社会福祉功績で藍綬褒章を受ける。
 人命救助や業務精励、産業振興、社会福祉の増進などで優れた業績を挙げた個人・団体を対象に毎年春秋に実施。今回は全国から792人、県内在住者は11人が受章する。
 松野さんは親戚から引き継ぎ、平成4年12月、民生委員の辞令交付を受けた。以来24年間、竹駒1区(下沢町内会)を見守り、現在は竹駒地区民生・児童委員協議会長なども務める。受章の報に「知らないうちに24年もやっていたという感覚。地域に支えてもらった」と語る。
 教訓として心に刻むのは東日本大震災。市内では民生委員も津波で犠牲となった。「あれほどの緊急事態で一人も見逃さずに声がけするのは不可能。『自分の身は自分で守るんだ』と住民に伝えるため、住民を守る立場の人こそ率先して逃げるべき」と訴える。
 震災後は町内会役員として公民館の避難所運営に当たりながら、在宅者にも炊き出しを届けるなど全住民に気を配った。
 1000年に1度の災害を経験し、防災意識はさらに高まった。8月末の台風10号襲来時には、事前に独居高齢者らに電話をかけ、注意を喚起した。
 竹駒町内は震災後、自宅を失った他地区からの移住者が増加。1区でも約20軒増え、世帯数は100世帯を超えた。
 「近所同士で声をかけあえるよう、つなぎ役としての務めを果たしていきたい」と12月以降の委員9期目にも意欲をみせる。