「くまカフェ」へどうぞ、熊谷さん(米崎町)が店舗借りて夜間営業/陸前高田

▲ りくカフェで夜間限定のくまカフェを営業する熊谷さん=高田町

 震災を機に東京都からUターンした陸前高田市米崎町の熊谷幸さん(31)。来春以降、かさ上げした高田町の中心市街地にカフェをオープンする予定で、出店を前に現在、高田町のコミュニティ・カフェ「りくカフェ」を間借りし、週3日、夜限定の「くまカフェ」を営業している。一人で店を切り盛りするのは初挑戦だが、「市民が憩う場となれば」と温かいコーヒーと柔和な人柄で来店者をもてなしている。

 

震災を機にUターン、来春中心市街地に出店

 

 「くまカフェ」は9月中旬にオープン。りくカフェが午後4時に閉店することから店舗の間借りが決まった。木のぬくもりあふれる店内は温かみのあるオレンジ色の照明に照らされ、落ち着く雰囲気が広がる。
 営業日は10月まで毎週金曜日のみだったが、今月から木~土曜日に増やした。メニューはドリップコーヒー、アイスコーヒー、チャイミルクティー、カフェラテ、ショコララテの5品。仕事帰りに立ち寄る人などが多く見られる。
 高校卒業後、大学進学のため上京し、都内で就職。会社員として働きながら充実した日々を送っていた中、震災が発生した。
 祖母や母が営んでいた実家のたばこ屋(高田町)は津波で被災。誰とも連絡が取れない中、戻ってきたとき、がれきのまちと化した故郷の惨状にただぼうぜんとした。
 震災翌年の平成24年、都内の友人らを連れて帰省した際、高田町に仮設施設でオープンしたばかりのりくカフェを訪れた。店内では市民らの和やかな笑顔が広がっていた。「震災でみんなつらいはずなのに」と驚き、「自分も陸前高田でこんな場所をつくりたい」という思いを募らせた。
 25年1月に故郷に戻ることを決意。市内の飲食店で働き、祖母から飲食店やホテルへのたばこ卸し業務も引き継いだ。
 高田地区の中心市街地に換地される区画は12月にも引き渡されるという。店の整備はその後取りかかり、来春のオープンを目指す。店名など詳細は未定だが、コーヒーなどのほか、軽食のメニュー化を計画している。
 熊谷さんは「すべて自分で考えて実践するのは楽しい。お客さまとの触れ合いもやりがいがある。どんなものが受け入れられるのかしっかり考えて気軽に立ち寄れる店づくりを目指す」と意気込む。
 「くまカフェ」は毎週木~土曜日午後5時から同8時まで。問い合わせは同店(℡22・7311)へ。