「壊れてからでは遅い」 石楠花荘改修促進協が嘆願/住田町に

▲ 実情を訴えながら早期対応に理解を求めた市川会長(右から2人目)=住田町役場

 今年4月に発足した五葉山石楠花(しゃくなげ)荘改修促進協議会(会長・市川滋釜石山岳協会顧問)は9日、住田町に対して老朽化が進む山小屋・石楠花荘の早期対応に向けた嘆願活動を行った。同会に寄せられた署名は5000人近くに達し、募金は約200万円集まるなど理解の広がりを示したうえで「壊れてからでは遅い」と、働きかけ強化を訴えた。
 町は大船渡市、釜石市とともに、五葉山自然保護協議会の構成自治体となっている。現在の石楠花荘は、同協議会が整備した。
 町役場には、市川会長と運営委員を務める住田町の紺野忠(黒岩会)、千葉修悦(五葉山自然倶楽部)両氏に加え、協議会事務局で釜石山岳協会理事の桝澤洋光氏が来訪。町側では、農政課の横澤則子課長らが対応した。
 市川会長は建設から28年が過ぎ、芯柱の腐食が進み始めている状況が分かる写真などを使い説明。雨漏りや床の腐食にもふれたうえで「今は何とか持ちこたえているが、倒れてからでは遅い。花の百名山などとして知られ、手軽に登れる人気の山でもあり、起こりうる緊急事態を考えると、早急な対策が必要」と訴えた。
 協議会関係者は、これまで行ってきた署名募金活動に対する賛同実績も強調。実現に向けた見通しが立たない不安や焦りもにじませたほか、建て替えの必要性を確認する詳細な実態把握も求めた。
 これに対して横澤課長は「地域の中で愛されている山であり、必要性は共有している。どういう方法でできるか(自然保護協議会の事務局である)釜石市と情報収集をしている段階」などと説明。町側では、今後は具体策につながる基本方針検討の流れになるとの認識も示した。