火石13戸に申請76件、木造仮設住宅払い下げ/住田町

▲ 町外から払い下げ希望が相次いだ火石仮設住宅団地=世田米

 先月から今月にかけて住田町が実施した応急仮設住宅火石団地全13戸の払い下げ申込数が、定数を大幅に上回る76件に達したことが分かった。町内からの申し込みは5件で、町外は71件。町は町内分を優先し、町外希望者は利用目的などを考慮しながら、今月中旬をめどに当選者を決めるとしている。

 

町外希望者が多数

予想上回る〝人気〟に

 

 平成23年3月11日の東日本大震災により、気仙両市では多くの住宅が流された。沿岸部全体をがれきが覆った中、町は3日後に木造仮設住宅の整備を決断。町営住宅や旧幼稚園の各跡地、旧小学校の校庭を利用し3団地に計93戸を整備した。
 戸建て型の2LDKで、風呂やトイレを完備。カラマツ材の杭基礎で、土台や柱、床にはスギの板や集成材を用いた。壁は断熱材を木材で挟む構造。火石は同年4月に完成した。
 火石の敷地内は今後、道路改良整備用地として活用される計画。先月までに入居者がゼロとなり、供与終了を迎えた。
 空き住宅が増える中、町は2年前から住宅再建に至った入居者らに払い下げを実施。火石についても入居者に打診したところ再利用の申し出がなく、今回初めて一般住民や法人に対象を拡大した。
 先月中旬から周知を始め、今月2日まで申し込みを受け付けた。町によると、町内在住者・団体の申し込みは5件で希望住宅数は計8棟。町外は71件で、希望数は計89棟だった。
 気仙両市を含む震災被災地にとどまらず、県内陸部からの申し込みも目立った。さらに宮城県、千葉県からの申請も。予想を大きく上回っただけでなく、町独自で整備した木造仮設住宅に対する関心の高さを浮き彫りにさせる結果となった。
 町外希望者のうち、住居としての利用希望は20件。この他は社員寮や事務所、介護施設、店舗、ボランティア団体による拠点利用などが続いた。
 これまで町は、希望者が多い場合は町内に住所がある人を優先しながら、審査や抽選で決めると説明。さらに「公益性のあるもの、森林林業日本一の町づくりのPRになるものを優先する」も盛り込んだ。町外希望者に関しては、震災被災者の住居利用かなども考慮するとしている。
 払い下げ価格はエアコンや風呂、キッチンなどの附帯設備も含み1戸3万円。現状引き渡しとし、解体・取り外し、移設費、運搬費など再利用経費は払い下げを受けた個人・団体が負担。来年2月末までの撤去を求める。
 希望が多かったため、1者1棟の割り当てとなる。町は現時点で本町、中上両団地の空き住宅を対象とした一般向け払い下げの計画は未定としている。
 多田欣一町長は「13棟すべて払い下げできるとは、正直思っていなかった。被災者の皆さんによる生活利用が終わった後も、活用価値があるという建設当初の考えが広く理解された表れでもあり、大変ありがたい」と話している。