気仙沿岸でアワビ漁、4地区で計4・9㌧を水揚げ(動画、別写真あり)

▲ 水揚げされたアワビが次々と集荷場に運ばれた=三陸町吉浜・根白漁港

 気仙沿岸で17日、今季アワビ漁の初口開けが行われた。海況の影響で開口が遅れていたが、同日は波もなく海の透明度など好条件が重なり、待望の初漁を迎えた。この日は陸前高田市の小友、広田、大船渡市の越喜来、吉浜地区で〝海の小判〟が水揚げされ、初冬の風物詩となっている気仙のアワビ漁によって浜が活気にあふれた。

 

待望の初口開け

 

 今月1日に解禁となったアワビ漁だが、気仙沿岸では海況不良などで開口できない日が続いていた。各漁協では口開けのタイミングをつかめずにいたが、同日はなぎもよく漁日よりとなり、大船渡市三陸町の吉浜漁協、越喜来漁協、陸前高田市の広田湾漁協の3漁協管内で口開けが行われた。
 

漁が解禁になると、漁業者が一斉に海へと繰り出した=同・扇洞漁港

漁が解禁になると、漁業者が一斉に海へと繰り出した=同・扇洞漁港

このうち吉浜地区では、漁解禁の午前6時30分になると漁船が一斉に海へと繰り出し、箱めがねやカギさおを使って漁にいそしんだ。
 時折冷たい風が吹き付けるも波は穏やかで、同10時近くになると漁を終えた船が続々と漁港に集合。集荷場で選別作業が行われ、互いに漁況を報告する姿も見られた。
 10月に開かれた第1期(11月)アワビ事前入札会では、気仙地区のアワビは10㌔当たり平均価格が6万6122円と、昨年の第1期平均を2万円余り下回った。今年は海藻が少ないためにアワビの肥満度が低かったことなどが要因として挙げられている。
 また、気仙沿岸では、23年の東日本大震災の影響により同年と24年は稚貝放流を見送った。25年に放流を再開したものの稚貝は漁獲サイズになるまでに3~4年かかり、今年は境目の年にあたる。初開口のこの日、漁を終えた漁業者は口々に「思ったよりはいいが、例年と比べるとやせているし、物も少なかった」と語った。
 吉浜地区は午前6時30分から10時が解禁時間だが、早々に切り上げて漁港へ戻ってくる漁業者も。70代の男性は「なぎも水色もよかったが、海藻が少ないせいかアワビがやせてたね。量が多ければ時間いっぱいまでやったんだが」と、60代の男性は「いつもは30~40㌔は取っているが、きょうは20㌔ぐらいしか取れなかった」と渋い表情をみせた。
 同地区での初日のアワビ水揚げ量は、約1・38㌧で、昨年を下回った。
 県漁連南部支所によると、各漁協のアワビ水揚げ数量は合わせて約4・9㌧。18日は陸前高田市の気仙、大船渡市の末崎、赤崎、綾里、吉浜、越喜来地区で口開けが行われる予定。