自校校庭で念願の運動会、仮設住宅の撤去終え/猪川小6年生(動画、別写真あり)

▲ 自校の校庭で最初で最後の運動会を楽しむ6年生たち=猪川小

 大船渡市立猪川小学校(佐々木修正校長、児童319人)の6年生親子レク「最初で最後の親子運動会」は25日、同校校庭で開かれた。校庭には東日本大震災後、応急仮設住宅が建ち並んでいたが、撤去を経て今月上旬に供用を開始。親子レクは、自校の校庭で運動会を経験していない6年生の思い出づくりにと企画されたもので、児童らは保護者らと各競技を満喫し、小学校生活のかけがえのない記憶としていた。

 

〝最初で最後〟思い出に/大船渡

 

 猪川小校庭には震災後、轆轤石団地として応急仮設住宅50戸が整備。市の「応急仮設住宅撤去・集約化計画」に基づき、今年7月から仮設住宅の撤去、グラウンド復旧の各工事がなされ、今月7日に同校へ引き渡された。
 現在の6年生51人は、小学校に入学する年に震災を経験。入学以来、自校の校庭は使えず、学校の運動会は近所の県立大船渡高校グラウンドで経験してきた。
 今回の親子レクは、そんな6年生に小学校の校庭で運動会を経験させてあげたいと、6学年PTA(小野寺攻委員長)が企画。保護者らがこの日のためにプログラムの検討や準備を進め、当日を迎えた。
 校庭には、運動会らしく万国旗が掲げられ、中央には白線による「ガンバレ6年」の文字も。保護者らも多数参加し、応援に来た祖父母らの姿も見られた。
 運動会は、1組(紅組)と2組(白組)の対抗戦で展開。開会式では佐々木校長のあいさつに続き、各組キャプテンの村上慎太朗君(1組)と田中陸翔君(2組)が、多くの支えに感謝をしながら選手宣誓を行った。
 この日は、パン食い競争や綱引き、玉入れ、大玉転がしなど、運動会の王道ともいえる7種目を実施。子どもたちは保護者やクラスメートの声援を背に、校庭を駆け、全力で競技に臨んだ。
 児童も保護者も、自校の校庭で運動会ができる喜びにあふれ、笑顔。〝最初で最後〟となる親子運動会を、貴重な思い出としていた。
 村上君は「学校の運動会は校庭でできず残念だったけど、お父さんやお母さんたちが校庭でやると決めてくれてうれしかったし、喜んでくれた。とても楽しい」と、田中君は「親が決めてくれた最初で最後の運動会。6年生全員の親、特に自分のお父さんとお母さんに感謝したい」と、充実した表情を見せた。
 小野寺委員長(58)は「仮設住宅撤去の話を受け、保護者から〝運動会を〟との声があって満場一致で開催が決まった。子どもたちが楽しそうな姿を見られて何より。夫婦での参加も多く、いつもよりもPTAの意気込みも感じられた」と話していた。