保安体制維持へ連携、テロリスト侵入想定して訓練/大船渡港(別写真あり)
平成28年11月30日付 1面

大船渡港保安委員会(委員長・田中隆司大船渡土木センター所長)主催の「大船渡港埠頭(ふとう)保安訓練」は29日、大船渡市大船渡町の野々田コンテナふ頭で行われた。震災によって大船渡港への貨物の入港船舶数は激減したが、現在は震災前の水準まで回復している。各関係機関は港湾の保安体制維持に向けて連携体制を確認し、安全確保への意識を高めた。
保安委員会は、同港に関係する国・県・市の行政機関や港湾施設利用事業所などで構成。訓練は緊急事態発生時に迅速かつ適切な対応を行うための知識と能力を身につけるとともに、関係各機関の連携強化を図ろうと毎年実施している。
この日は、9機関から計72人が参加。訓練冒頭、土木センターの水野久禎副所長が「常に危機管理意識を持ち、迅速かつ的確に対応できる体制を維持することが重要。関係機関の連携強化が図られることを祈念する」とあいさつ。
訓練は、国土交通省から大船渡港埠頭保安管理者に対して「国内テロ行為が発生する恐れがあるため、保安レベルを1から2に引き上げた」「大船渡港に接岸中の外国貨物船にテロリストが乗船している可能性がある」という連絡が入った想定で実施。保安レベルは全3段階で、レベル1は通常時、レベル2は「テロ発生の恐れが高い場合」となる。
連絡が入ったあと、同委員会および大船渡港危機管理担当官が「大船渡港テロ対策本部」を設置し、▽警戒措置移行訓練▽船内検索訓練▽避難誘導訓練▽不審者発見捕捉訓練▽負傷者救助訓練▽事態収束後の港内等点検──が行われた。
船内検索訓練では、潜伏テロリストの身柄確保や船内検査が展開され、海上保安部員らが拳銃を持ったテロリストを船上で発見・制圧。避難誘導の後、警察署員が、上陸して事務所に潜んでいたもう一人のテロリストを取り押さえた。
訓練終了後、大船渡港危機管理副担当官の吉本直哉釜石海上保安部長は「連携を深めるいい訓練になった。テロは国内のどこで発生してもおかしくない状況。テロ対策の行き届いた港を維持するために、緊密な連携、情報共有をお願いしたい」と、同担当官の髙橋仁大船渡警察署長は「連携して対応することにより、それぞれの任務を確認できたと思う」と講評。
水野副所長は「関係機関が連携しながら保安体制を維持することが大切。これからも引き続き努めていきたい」と話していた。