世田米中にダブル栄誉、木工工作県大会で最優秀賞/全国審査会へ

▲ 作品を前に笑顔を見せる特設木工部の生徒たち=世田米中

 第41回全国児童生徒木工工作コンクール県大会(県木材青壮年協議会主催)がこのほど盛岡市内で行われ、住田町立世田米中学校(佐藤智一校長、生徒67人)の特設木工部(佐藤創太部長、部員7人)が手掛けた「ポラーノの広場」と「祈り―陸前高田市常膳寺観音堂」がともに最優秀賞に輝き、来年2月に予定されている全国審査会への出品が決まった。新たな伝統を積み重ねた生徒たちは受賞を喜ぶとともに、全国審査に向けた微調整に意欲を見せている。

 

世小4年小野田さんも

 

同じく最高賞に輝いた小野田さんの作品=住田町

同じく最高賞に輝いた小野田さんの作品=住田町

 同校の特設木工部では昭和62年以来、コンクールに毎年出品。今大会では「ポラーノの広場」が県知事賞、「祈り―陸前高田市常膳寺観音堂」が県木材産業協同組合理事長賞と、最優秀賞枠二つに入賞を果たした。
 特設木工部は全員3年生。2学期から本格的に制作活動が始まり、約3カ月間にわたって地道な手作業を重ね、同校が誇る伝統と作品としての理想を追い求めてきた。
 「ポラーノの広場」は松田円さんと紺野優希さん、三浦寿孝君、中野雷河君、菅野太陽君の5人で制作。「住田の森にあったらいいものをつくる」という意図から構想を練りあげた。
 全校生徒からキーワードとなるアイデアを集め「住田」「森」「宇宙」といった言葉から膨らませた。大木そのものが建物になっているようなデザインから、作品アイデアが具体化していった。
 タイトルは宮沢賢治の童話からとり、コンサートやオーケストラが頻繁に行われ、どんな人でも上手に歌うことができる伝説の空間を木工で表現。シンボルタワーや住田の山と森を見渡す気球、誰でも歌がうまく歌えるコンサートホールやパイプオルガン、天文台、日傘などをバランスよく配置した。
 制作は締切直前まで及び、タワー内の緻密ならせん階段などに苦戦。日傘に貼り付ける和紙をかたどる作業は、同級生たちも手伝うなど、学校一丸となって完成させた。松田さんは「賞を聞いたときは、すごくうれしかった」と、喜びに感謝を込める。
 一方、常膳寺観音堂は、小友町に構える木造方三間の観音堂。市指定有形文化財で、記録には元禄9年(1696)に再建されたとあり、気仙に現存し建築年代が分かっている中では最古の遺構の一つと言える。制作は佐藤創太君と、迎友華さんが担当した。
 ミリ単位の部材一つひとつが全体の構造に影響する中、粘り強く制作。佐藤君は「先輩方が賞を獲得していたのでプレッシャーがあった。肩の荷がおりた感じがした」と安堵の表情を見せる。
 生徒たちは今後、細かい修正を重ねて作品全体の質を高める予定。7人は「全国大会の審査も楽しみ」と、飛躍を誓う。
 今コンクールでは、本年度の住田町児童・生徒木工工作フェスティバルでも最優秀賞に輝いている世田米小4年の小野田朝日さん制作の「夏の朝の朝顔」が、同じく最高賞にあたるクロステラス盛岡賞を受賞。全国審査会への出品権利を得た。