気仙大橋 本復旧徐々に、上部工は来年7月終了へ/きょう震災5年9カ月
平成28年12月11日付 1面

東日本大震災で落橋し、陸前高田市気仙町の気仙川に仮橋が架かる国道45号・「気仙大橋」で現在、復旧工事が行われている。下部工工事を終え、上部工工事は来年7月まで、その後の床版(しょうばん)整備は来年度末までの完工を目指しており、完成すればおおまかな橋の外観が確認できることとなる。11日で震災発生から5年9カ月。陸前高田と気仙沼を最短で結ぶ重要ルートの工事の順調な進ちょくに期待がかかる。
今後橋げた取り付け本格化
気仙大橋は長さ181・5㍍、幅員は12・5㍍あり、昭和57年に竣工。国道45号陸前高田バイパスの一部として陸前高田と宮城県方面を結び、物流や観光振興などに重要な役割を担っていたが、震災で橋りょうは大破。橋げたは100㍍以上も流され、橋脚のみが残った。
早期の交通路確保をと、国交省三陸国道事務所は平成23年5月、仮橋の下部工基礎打設に取りかかり、予定よりも2カ月早い、わずか2カ月余りの工期で開通を果たした。
本復旧は、26年2月に着手。橋長は201㍍、幅員は15・5㍍。両側に設ける歩道の幅は3・5㍍ずつで、旧橋りょうより1・5㍍拡幅される。震災前4基で支えた橋脚は2基の設計。高さは仮橋よりも5㍍ほど高くなる。
橋両端の橋台や橋脚整備といった下部工工事は2年ほどをかけ、6月末に終了。橋脚は鋼管矢板基礎工法を採用し、直径1㍍の円柱形の鋼管矢板を連続して組み合わせ、駆体を小判型に囲むように打ち込んだ。河川内とあって地盤は軟弱で、支持層が40㍍ほどと地下深くにあったため、打設に時間を要したという。
上部工工事は昨年10月に着手。施工は、㈱IHIインフラシステム(本社・大阪府堺市)が請け負った。
橋りょう形式は、3径間連続箱桁。橋の骨組みとなる鉄製の橋げたは部材製造が完了し、今月中にも取り付け工事が始まる。
同事務所によると、上部工工事の進ちょく度は6割ほどと、おおむね順調に進んでおり、来年7月の完成を目指す。
その後は、来年度中をめどに、橋げたの上の床部分に当たるコンクリート製の床版を整備。さらにアスファルト舗装工などが控えている。
今泉地区側の取り付け道路は、市が進める今泉地区被災市街地復興土地区画整理事業区域内につながる計画。同事務所は今後、市などとの調整を進めながら、開通時期を明らかにする。
同事務所大船渡維持出張所の林富二夫所長は「まずは施工者に事故なく工事を進めていただきたい。そのうえで一日も早く新しい気仙大橋が完成するよう努めていく」と力を込める。