再利用へ解体本格化、木造仮設の火石団地/住田町(別写真あり)

▲ 再利用を見据えて、慎重に行われたサッシ類の撤去=世田米

全13戸を払い下げ

 住田町世田米の応急仮設住宅火石団地は全13戸の払い下げ先が決まり、撤去作業が本格化している。応募総数が76件に達した中、町は先月に抽選を行うなどして選定。払い下げを受けた関係者は、再利用を見据えて丁寧な手つきで作業にあたっていた。
 13日は、上有住に本社農場がある㈲ありす畜産(水野雄幸代表取締役)に払い下げる住宅など数棟で解体作業が行われた。委託を受けた上有住の大工・佐藤照夫さん(72)らが、ガラスサッシなどを丁寧に外した。
 佐藤さんは「解体まで、日数はもう少しかかると思う。接着剤やくぎを外すときは板まではげてしまわないように注意してやらないと」と話していた。
 同社では、加工場の休憩室などとして活用する計画という。水野代表取締役(65)は「やっぱり木の見た目がいいし、プレハブよりも建造の時に改造しやすい」と語り、今後も払い下げの住宅が出れば申し込みを検討する見込みも明かした。
 火石の各住宅は、平成23年4月に完成した。戸建て型の2LDKで、風呂やトイレを完備。カラマツ材の杭基礎で、土台や柱、床にはスギの板や集成材を用いた。壁は断熱材を木材で挟む構造となっている。
 団地の敷地内は今後、道路改良整備用地として活用される。10月までに入居者がゼロとなり、供与終了を迎えた。町は今回初めて、一般住民や法人に払い下げの対象を拡大した。
 町内在住者・団体の申し込みは5件で、希望住宅数は計8棟。町外は71件で、希望数は計89棟だった。気仙両市を含む震災被災地にとどまらず、県内陸部からの申し込みも目立った。
 町は、あらかじめ定めた優先順位に沿って、最終的には町内分は4人(法人1団体含む)に決定。さらに東日本大震災で被災し、住まいとして活用を考えている6人を選んだ。内訳は大船渡市が3人、一関市、釜石市、気仙沼市が各1人。残り3戸に関しては、住居利用希望者の中で抽選を行った。
 払い下げ価格はエアコンや風呂、キッチンなどの附帯設備も含み1戸3万円。現状引き渡しとし、解体・取り外し、移設費、運搬費など再利用経費は払い下げを受けた個人・団体が負担。来年2月末までの撤去を求める。