年度内に全学校で撤去へ、校庭建設の応急仮設住宅/大船渡市

▲ 撤去工事に着手した大船渡中校庭の永沢応急仮設住宅=大船渡町

 大船渡市内9小中学校校庭に建設された仮設住宅団地のうち、大船渡、第一各中学校でこのほど、撤去作業が始まった。今後、グラウンド復旧工事も経て、学校側への引き渡しは来年7月の見込み。仮設住宅を建設した校庭では、すでに4校が撤去を終えて供用を開始。2校は14日に県の工事検査を終えたのち、学校側に引き渡される。残る蛸ノ浦小も来年1月中旬に作業開始の予定で、市内の小中学校校庭に整備された仮設住宅は、年度内にすべて撤去される。

 

大中、一中でも作業開始


平成23年の東日本大震災後、市内には公有地、民有地など37カ所に1801戸の応急仮設住宅が整備された。盛、大船渡北、末崎、蛸ノ浦、猪川の各小学校と、大船渡、末崎、第一、綾里の各中学校の校庭も建設地となった。
 市は26年度、「応急仮設住宅撤去・集約化計画」を公表。計画を見直しながら、特に小中学校に建設された応急仮設住宅の早期撤去に取り組んできた。
 学校校庭では、綾里中(黒土田)、盛小(沢川)、猪川小(轆轤石)、末崎小(山岸)、大船渡北小(山馬越)、末崎中(平林)で撤去を完了。綾里中と盛、猪川、末崎の各小学校ではすでに引き渡し済みで、大船渡北小、末崎中も県の工事検査を控えるのみとなっている。
 今月1日に撤去工事を開始したのは、大船渡中(永沢)と第一中(宮田)の2団地。撤去戸数は、両団地合わせて41棟242戸(大中は今年3月に4棟16戸を解体済み)。
 市によると、10月末現在の入居者数は、大中が17戸33人、一中が21戸43人。撤去に当たり、先月末までに自力再建や防災集団移転事業による新居、災害公営住宅、民間賃貸住宅、ほかの仮設住宅といった次の住まいに移った。仮設間転居は各団地8戸ずつ、計16戸となった。
 撤去工事は県が発注。大船渡中は日成ビルド工業㈱大船渡営業所、第一中は㈱板宮建設が解体施工を担当している。工期は来年3月31日まで。
 工事は、電気や水道、排水など設備の取り外しに始まり、外装、内装、本体の順で解体。配管などを撤去後、外構の敷きならしをして終了となる。
 その後は、県によるグラウンド復旧工事に入る計画。復旧工事は来年4月に発注後、7月の完了、引き渡しを見込む。
 蛸ノ浦小(鳥沢)は県の発注手続き後、1月中旬からの撤去開始を予定。ただし、グラウンドとしての復旧はせず、整地のみになるという。
 市内では学校校庭に加え、末崎町の小中井(民有地)27戸、三陸町越喜来の甫嶺(民有地)20戸、仲崎浜(旧崎浜小)35戸も年度内に撤去作業を開始する計画。仲崎浜は当初、来年夏の撤去を予定していたが、地域の要望を受けて前倒しとなった。
 市では、「今後も『撤去・集約化計画』を着実に推進し、民有地の返却や公園などの開放にも取り組んでいきたい」としている。