三味線で元気おすそわけ、米崎小1年の菊池君(別写真あり)

▲ デイサービス利用者を魅了した菊池君=住田町

 陸前高田市立米崎小学校1年の菊池郷平君(7)は、同市の鳴美会(高橋仁会主)の一員として気仙の福祉施設などを回り、津軽三味線の演奏で高齢者らに元気をプレゼントしている。5歳から習い始め、周囲も驚くほど上達を遂げる郷平君。演奏後に受ける拍手も糧としながら「もっと上手になりたい」と、瞳を輝かせる。

 

習い始めから2年、福祉施設慰問などで活躍

 

 鳴美会は17日、住田町世田米のすみた荘デイサービスセンターで行われた「年忘れお茶会」に出演。はかま姿の郷平君は、まず唄で「大漁唄い込み」を披露。妹で米崎保育園年中の里歩ちゃん(5)らが合わせて踊り、利用者30人余りをなごませた。
 ともに出演した大船渡市の「さらさら会」(村上栄会長)による演舞をはさみ、郷平君は三味線を手にして再び登場。右手のばちを巧みに動かし、時折棹の最上部まで左手を目いっぱい伸ばしながら「数え唄」「さくらさくら」「七五三社中の六段」などを響かせた。利用者から盛大な拍手を浴びた郷平君は「頑張りました。点数は100点」と語り、笑みをこぼした。
 郷平君が三味線を初めて手にしたのは2年前だが、5年9カ月前に襲った東日本大震災がきっかけとなっている。発災時、学校用務員で母の静さん(39)は、避難所となった広田小学校に赴任。訪れた支援者が被災者を励ます光景を目にして「楽器一つで感動を与えられる。子どもにもそうなってほしい」と思っていた。
 高橋会主を通じ、三味線奏者・菅原聡氏=奥州市=の紹介を受けて体験させたところ「やりたい」と稽古を続けるようになった。現在も週に1回、自宅で菅原氏から指導を受ける。
 これまで辞めたいと思ったこともあったというが、家族らのほめ言葉や励ましを受けながら上達。保育園時代からデイサービスセンターなどの慰問活動に参加しており「あまり緊張はしない。いっぱいの人に聴いてもらえるのはうれしい」と語る。
 今後も週末を中心に、各地で演奏機会が待っている。高橋会主は「大人と違って吸収が早いし、根性がある。多くの皆さんに聞いてほしい」と語り、成長に期待を込める。
 郷平君は「もっと上手になって『かすめばち』を速く弾けるようになりたい」と話している。