稚アユを今季初出荷、県栽培漁業センター/大船渡
平成28年12月28日付 8面

南部馬淵川漁協に200㌔
大船渡市末崎町の県栽培漁業協会(大井誠治会長)は27日、今季初のアユ種苗出荷を行った。この日は二戸市の南部馬淵川漁協に約200㌔(約40万匹)を出荷。同協会では今後、2月末までに延べ約3㌧を出荷する計画。同日は、職員らが資源維持への期待を込めながら出荷作業に当たった。
アユは、ふ化後の仔稚魚期に海で育って川を遡上(そじょう)する「両側回遊魚」であるため、種苗生産は海水飼育できる施設で行われ、その後は淡水に慣れさせながら飼育する中間育成場に移されていく。
今回出荷した種苗は、今年9月中旬から10月にかけて同漁協で養成した親魚から、同協会で採卵・ふ化後飼育していたもの。
今季初出荷の同日は、協会の飼育施設がある門之浜漁港の県水産技術センター大船渡研究室で、朝から職員らが慌ただしく作業。水槽を元気に泳ぐ稚アユをバケツに入れて、トラックへと移していった。
トラックに積み込まれた稚アユは、同漁協の中間育成施設へと運ばれた。
同協会は平成6年、安定した栽培漁業を推進する母体組織として設立。アワビ、アユ、ヒラメの種苗生産などを行っている。
東日本大震災で事務所や施設が全壊して事業を休止。24年に復旧工事が始まり、25年に完工し、同年末には稚アユの出荷にこぎ着けた。
同年の出荷量は例年の3分の1ほどの1㌧にとどまったが、昨年には生産能力が震災前の水準にまで回復した。
今年は、大船渡市の盛川漁協を含む県内4カ所のほか、宮城、福島といった県外3カ所に出荷。中間育成場では、5~6月ごろまで飼育し、河川に放流する。
同協会の坂本晋専務理事は「今年はまずまず順調に育ってくれている。これから急に温度が変わるなどしない限りは計画通り出荷できると思う。元気に育ってもらって、春にたくさん放流されて夏にはみなさんにたくさん釣ってもらえれば」と話していた。