貸出業務を全面停止、本設図書館の開館へ向け/陸前高田

▲ 午後のみの開館となった仮設の市立図書館。新聞・雑誌は閲覧できる=竹駒町

 陸前高田市竹駒町にある仮設の市立図書館(橋本英雄館長)は4日から、図書の貸し出し業務を休止した。本設施設開館へ向けた準備作業に伴うもので、貸し出しを再開するのは新図書館オープン後となる。引き続き新聞と一部の雑誌は館内で閲覧できるが、開館時間も短縮されており、同館では利用者に理解と協力を呼び掛ける。

 

本の返却11日まで、新聞・一部雑誌の閲覧のみに

 

 同館はもともと高田町にあり、東日本大震災の津波で全壊被害を受けた。仮設施設は竹駒町に建てられ、季節ごとの企画展示やミニコンサートの開催、仮設住宅・災害公営住宅で暮らす人たちのために趣味・実用分野の図書を充実させるなど、市民に寄り添った事業を行ってきた。
 また、毎週水曜午後には来館者へお茶・コーヒーをふるまう「井戸端図書館」を実施するなど、甚大な被害を受けた同市の貴重な〝コミュニティー施設〟としても機能している。
 こうした仮設での「良さ」を生かした本設の新図書館は、高田町の新しい中心市街地で建設が進む。今夏のオープンを目指し、現在は職員たちが図書の登録、再整理、蔵書の確認作業などにあたっているところだ。
 これらの作業に伴い、移動図書館車の運行を昨年11月で休止。今月4日からは本と資料の閲覧・貸し出し・予約も停止した。蔵書を把握するため、市民らには11日(水)までに借りた図書を返却するよう周知する。
 館内は書架を移動させるなどしてレイアウトも変更し、現在は新聞と雑誌の閲覧コーナーのみに。水曜の井戸端図書館も休止する。開館時間はこれまで午前9時~午後5時までだったが、午後0時30分~4時に短縮された。
 貸し出し業務休止期間は、同館に隣接する「こども図書館ちいさいおうち」や、小友町にある「陸前高田コミュニティー図書室」、気仙町の「にじのライブラリー」の利用を促している。
 橋本館長(62)は「本を読みたい方にはご不便をおかけするが、これまで通り、閲覧室へ来ておしゃべりもしてもらえれば」といい、施設機能を完全休止させるわけではないことを説明。常連の利用者からも「新しい図書館の完成が楽しみ」といった声が寄せられているといい、「新施設の開館に期待してほしい」と話していた。
 休館日はこれまでと同様、月曜と祝日。問い合わせは同館(℡54・3227)まで。