どう動く異例の長期戦、新リーダーは誰に/住田町長選

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神田謙一氏

 平成29年の気仙における首長、議会議員選挙は、8月4日の任期満了に伴う住田町長選が予定されている。現職の多田欣一氏(71)=世田米=が勇退を表明し、16年ぶりの新リーダー選出が確実となる中、現段階で出馬を表明している新人は会社役員の神田謙一氏(57)=下有住=のみ。他候補出馬で8年ぶりの競争選になるかだけでなく、人口減少社会下でどのような将来像が描かれるかにも、注目が集まる。

 

告示まで半年余り

 

 今年の町長選は、昭和30年の町政施行から数えて17回目。選挙日程は、春に開かれる町選挙管理委員会で決まる見通し。平成25年の前回選は7月16日告示で、今回も7月中旬から下旬にかけての選挙日程が予想される。
 町制下では最長となる連続4期目の多田氏は、昨年12月9日の町議会12月定例会最終本会議で発言に立ち、勇退を表明。新リーダーを選ぶ町長選が、事実上スタートした。
 新人の中で、最初に名乗りを上げたのが神田氏。獣医師であり、住田町農協での家畜診療所勤務などを経て、現在は住田フーズ㈱常務取締役を務める。町教育委員や町総合計画・町人口ビジョン・町総合戦略推進委員会の副委員長にも就いている。
 初挑戦となる選挙には無所属で臨む。自身は「多田氏の後継とはとらえていない」と語る。このため、後援会構築や知名度向上が最初の課題と言える。在住地・下有住からの広がりや長年畜産業にかかわってきた中での人脈、これまで多田氏を支持してきた層をどう取り込むかなどがカギとなる。
 多田氏はこれまで町長選に4回臨み、平成21年の3選時を除いて無投票。一昨年の町議選(定数12)も史上初の無投票となるなど、町内では政治家の担い手不足が叫ばれる。
 今回は、競争選挙となるのか。現段階では、過去の町長選でも関心を集めた複数の町議の動向が注目されている。このうちの一人は「多田路線から発展させていくためにも、前向きに検討している。支持者、後援会と相談していきたい」と語る。別の町議は「誰かが責任を負わなければいけない。客観的に判断できる後援会の皆さんの声を聞きながら考えたい」としている。
 多田氏は、町職員を辞して町長となった。職員の中で名前が挙がる一人は「全く考えていない」と否定している。
 町の高齢化率は40%台となり、人口は6000人を割った。前年度策定した人口ビジョンでは、出生率向上や社会増減ゼロを目標に掲げ、平成52年には約4000人の人口を目指すとしている。
 今後も人口減は避けられない中で、地域に根ざした生活を送る一人ひとりが住みやすさを実感し、安定的に暮らせる環境を政治面でどう支えるのか、その将来像が問われる。また、交流人口の拡大に向け、町外の人々を引きつける魅力づくりも求められる。
 多田氏が任期を7カ月以上残して勇退を表明したことで、今回の町長選は異例の長期戦に入った。それだけに、町長を目指す者としては「時間が足りなかった」という言い訳は許されない。政策提示や住民への浸透など、7月までにどのような行動を積み重ねていくのか。有権者からは、厳しい目が向けられる。
 町長選としては今回初めて18、19歳の有権者も投票が可能。1月4日現在の有権者数は5144人(男2505、女2639人)。前回選の告示前日(20歳以上)と比べて、240人少ない。