赤崎小児童から感謝の手紙、交通指導員の井上さんへ/大船渡

▲ 赤崎小児童から感謝の手紙を受け取った井上さん=赤崎町

 「こうつうしどういんさんへ、いつもおうだんほどうをわたらせてくれて、ありがとうございます」──。大船渡市交通指導隊員の井上久さん(65)=同市赤崎町=にこのほど、赤崎小学校の1年児童から、感謝の気持ちがつづられた手紙が送られた。児童のあたたかいメッセージに、井上さんは交通事故防止の決意を新たにしている。

 

感謝のメッセージを励みに

 

 指導員となって2年目の井上さんは、小中学校の授業日は毎日、同町生形地内の赤崎グラウンド近くにあるスクールバスの乗降場所に立つ。
 朝は午前7時20分ごろに到着し、交通量などをチェック。同7時30分に赤崎中学校行きを、同8時に蛸ノ浦小学校行きのバスを見送る。夕方は、小学校のスクールバスの到着時刻に合わせ、子どもたちを出迎えている。
 朝は、他の指導員と2人1組になって、児童・生徒の横断歩道通行のサポートをするなどの活動をしているが、夕方は井上さんが自主的に行っている。
 ある日、乗降場所近くの高台にある赤崎地区公民館で、管理人を務めている井上さんが同公民館から帰りのスクールバスを見ていると、「盛や大船渡方面に向かう車は、止まっているバスで死角ができるので、横断中の子どもたちが見えにくい」と気づいた。「バスにはスクールガードが同乗しているが、1人よりも2人で道路の横断を見守った方が安全」と、出迎えを始めたという。
 これらの活動を続けて、しばらくたった昨年末、いつものように帰りのバスから降りてきた子どもたちを見守っていると、赤崎小の1年児童から二つに折りたたまれた手紙を渡された。
 日ごろの活動に感謝の気持ちをしたためた内容で、「まさかと思った。とてもうれしかったし、やりがいを感じた」と感激した当時の様子を振り返る。
 早速、手紙を入れる額を買い求め、自身が住む仮設住宅に飾った。「毎朝、手紙を見て、『よし、やるぞ』と思って家を出る。小さい子でも、指導隊の活動を見てくれている。ありがとうと言われると、やっぱり励みになる」と笑顔を見せる。
 本年度、赤崎地区は市交通安全対策協議会(会長・戸田公明市長)の「交通安全モデル地区」に指定されていることもあり、「ここで事故を起こさせるわけにはいかない」と井上さん。小中学校の3学期始業式に合わせて指導員の活動を再開するが、「これからも建康に留意しながら、現場に立ち続けたい」と力を込める。