復興への思い新た、気仙両市で成人式(別写真あり)

▲ 懐かしい仲間と笑顔で写真を撮影する新成人ら=リアスホール

 大船渡市と陸前高田市の「成人式」は8日、それぞれ開かれた。今回は、平成8年4月2日から同9年4月1日までに生まれた出身者、在住者が対象で、大船渡市が447人、陸前高田市が213人の計660人。晴れ着やスーツ姿で出席した新成人らは、東日本大震災からの復興、地域発展への思いを新たに、大人としてのスタートを切った。


地域を変える力に、感謝忘れずまい進を/大船渡市


 震災後、6回目の冬の成人式を迎えた大船渡市。式典会場のリアスホールには、振り袖や羽織はかま、スーツ姿の新成人369人が集い、旧友らとの再会に笑顔を見せた。
 新成人らは震災発生時、中学2年生。津波による犠牲者はいなかったが、それぞれ震災と向き合い、10代の立場で復旧、復興の一翼を担ってきた。
 式では、盛小学校児童と市民歌を斉唱。病や事故などで短い命を終えた同級生、震災の犠牲者らへ思いをはせ、黙とうをささげた。
 戸田公明市長は「大船渡市が復興を成し遂げ、持続可能なまちを構築するには、若い世代の力が不可欠。多くの経験、研さんを積みながら、まちづくりを支える人材として活躍を」と式辞。熊谷昭浩市議会議長が祝辞を述べ、新成人らにエールを送った。
 新成人を代表し、実行委員長で県立大学宮古短期大学部2年の尾﨑勇款さん(20)=末崎中出身=と、副委員長で橋爪商事勤務の近江佳菜さん(20)=大船渡中同=が抱負を発表。
 舞踊家としても活躍する尾﨑さんは、「大船渡で一人前の舞い手として認められ、大船渡のシンボルとなれるよう、人間的な成長を遂げるのが目標。舞踊を通じ、老若男女を問わず楽しくなるような、地域を変える力になりたい」と決意。
 社会人の近江さんは、「大人としての自覚を持ち、どんな困難にも屈しない強い心を、ここにいる大勢の仲間とともに養っていきたい。周囲の方々へ感謝の気持ちを忘れず、常識と責任感のある大人になれるよう、日々まい進していく」と力を込めた。
 新成人らは家族や恩師の祝福を受け、大人としての第一歩に気を引き締めた。
 北海道教育大学2年の紺野快さん(20)=第一中同=は、「成人になった実感はまだわかないが、同級生の話を聞き、勉強も部活も頑張らなきゃと思った。卒業後は地元に帰ってきて、貢献できるようになりたい」と誓いも新た。
 仙台青葉学院短大2年の田村基輝さん(19)は震災後、三陸町越喜来から一関市へ避難。同市内の中学を卒業しており、式の対象外だが、生まれ育った大船渡での式に出席した。「昔から一緒だった仲間と成人を迎えられ、うれしい。ふるさとは越喜来。これからも越喜来の仲間と仲良くしていきたい」と喜んでいた。
 式典前には、記念行事として㈱キャッセン大船渡の臂徹取締役による記念講演などが行われた。

 

晴れやかな笑顔と大きく成長した姿を見せた新成人たち=市コミュニティホール

晴れやかな笑顔と大きく成長した姿を見せた新成人たち=市コミュニティホール

震災の経験バネに、故郷での活躍も誓う/陸前高田

 

 陸前高田市の成人式は、今年から市コミュニティホールを会場に挙行。ホールは新成人とわが子の晴れ姿を祝おうという保護者らで満員となり、頼もしい〝二十歳の誓い〟に涙ぐむ父母の姿も見られた。
 式でははじめに、東日本大震災の犠牲者を悼み黙とう。津波で亡くなった同級生の遺影を掲げて出席する人もおり、およそ6年前の災禍に思いをはせた。戸羽太市長は「具体的な目標を掲げることで日々を充実させてほしい」と式辞を述べた。
 成人の誓いでは、気仙沼医師会附属准看護学校2年の大和田博史さん(19)=米崎中出身=と、会社員の加藤舞さん(20)=広田中同=が登壇。加藤さんは周囲の支えに謝意を示したうえで、「陸前高田で生まれ育ったことを誇り、夢と希望の実現を心に刻みながら歩んでいくと誓う」と新成人たちの決意を代弁した。
 平成23年4月に中学3年生へと進級したこの世代は、震災の影響で学校行事の中止を余儀なくされた人たちも多い。大和田さんは、「楽しみが次々と奪われたようで、行き場のないストレスを家族にぶつけてしまったこともあった」と当時を振り返りながら、多くの支援があって名古屋への修学旅行が実現したことをはじめ、「見ず知らずの人々から恩恵を受けてきた」と深く感謝。「社会の一員としての責任を果たし、これまでの恩に報いたい」と力強く述べた。
 式典に続き、蒲生絵里さん(20)=広田中出身=を委員長とする実行委員会が中心となって、記念行事を実施。
 「将来の夢」「今後の陸前高田に期待すること」「育ててくれた人への感謝」などをお題に出席者へのインタビューが行われた。
 「陸前高田の未来を担う人たちがこのまちへ戻ってこられるように、ここのいいところをもっと伸ばしていけたら」「陸前高田の特徴を生かした商店街をつくりたい」など、生まれ育ったまちを思う発言の数々に、会場の父母たちも目を細め、地域の子どもらの成長を喜んだ。
 米崎中出身で、高田高校在学中に野球部主将を務めた熊谷朋哉さん(20)は、この春短大を卒業し、地元の建設会社へ就職を決めた。高校卒業時「将来は大工になり、地元のために頑張りたい」と、話していた熊谷さんは「ようやく復興に携われる。社会人としての自覚を持ち、陸前高田のため役に立てれば」と語り、春からの活躍に意欲を燃やしていた。