外構整備のあり方議論、住田分署デザイン会議

▲ 模型を囲みながら意見を交わしたデザイン会議=役場庁舎内

 住田町による第2回大船渡消防署住田分署デザイン会議は13日、農林会館で開かれた。平成29年度に移転新築整備を進める分署の木造構造だけでなく、周辺の景観やまちづくりの整合性も考える場で、この日は駐車場スペースをはじめ外構部のあり方も議論となった。建設場所の近隣にはすでに木造の新庁舎がある中、出席者は今後の「ウッドタウン」の形成に向けた観点でも意見を交わした。

 

29年度に移転新築

 

 新分署は、平成26年に完成した木造の役場新庁舎と野球場の間に用地を確保。木造2階建ての構造となる見込みで、29年度内の建設、完成を見据えて設計や工費積算などが進む。
 町は新分署を、防災機能を担うだけでなく中心市街地における中核施設の一翼とも位置付ける。全体的なまちづくりを見据えた包括的な観点であり方を考えようと本年度に「デザイン会議」を設けた。
 メンバーは大月敏雄氏(東京大学教授)柴田久氏(福岡大学同)藤田香織氏(東京大学准教授)佐々木洋文氏(住田分署長)泉田義昭氏(町消防団長)横澤孝氏(副町長)佐藤英司氏(町総務課長)の7人で構成している。
 会議は、昨年11月以来の開催。メンバー7人のほか、町建設課、総務課や住田分署の各職員、設計業務を担う㈱SALHAUS一級建築事務所(東京都)の関係者合わせて約20人が出席した。
 設計業務の進ちょく報告では、SALHAUSの関係者が模型を指し示しながら説明。敷地の全体計画に関しては、操法訓練にも対応した駐車場の外側を、ランニングトラックのような形でルートをつくるアイデアが提案された。
 近隣には、野球場や体育館もある。消防署員のトレーニングなどに加え、体力向上や健康保持といった住民利用も見据えながら「消防署とまちの風景」を結びつけたい考え。車庫までの動線を示す役割も兼ね、カラーアスファルトによる色分けを行う方向性も示された。
 これに対し、メンバーの一人は「なかなか面白いと思うが、カラーアスファルトは景観との調和が図られるかが心配」と指摘。古き良き街並みが残る周辺との調和に配慮し、彩度を抑えた路面整備を求める意見が寄せられた。
 また、役場庁舎と消防庁舎の間を通る市道沿いなどに、ベンチを置く構想も。木製で、仰向けになった状態でのトレーニングにも活用できるデザインを検討している。
 分署と駐車場スペースは90㌢程度の段差が生まれるため、階段状の観覧席としても活用できる案も示された。野球場の駐車場側ではシンボルツリーの植栽も見据え、憩いの場形成も図る。
 車庫部分の照明は、夜間には内部から木造の軒裏が浮かび上がる形での配置を検討。国道などからも目に入りやすく、夜間における景観向上や、地域の常夜灯的な役割も持たせるとしている。
 さらに、議会論戦でも取り上げられ、新たな木材加工利用として関心を集めるCLT(直交集成板)活用も話題に。2階の天井部として見える屋根の面や2階の床、階段部分など、比較的来訪者の目にふれやすい場所に活用する方向性が示された。
 役場周辺では現在、旧役場施設の解体が進み、年度内には更地になる見込み。今後はさらに議会や図書室が入る生活改善センターの改築予定をはじめ公共施設再編を控える。分署整備にとどまらず、デザイン会議で練られた機能やデザインが、次の公共施設整備にどのようなつながりを見せるのか、今後の行方が注目される。