出動実績まとまる、大船渡地区と陸前高田市両本部の救急・消防件数/28年

▲ 陸前高田市内の火災は7件で前年比2件増となった(写真は昨年の文化財防火デー消火訓練)=同市

 火災が過去5年で最多/大船渡地区

 

 大船渡地区消防組合消防本部(村上芳春消防長)のまとめによると、同組合管内での平成28年の救急出動件数は、前年比27件減の1976件。2年ぶりに2000件を割り込んだ。火災は同4件増の17件で、2年連続で前年を上回り、過去5年間で最も多かった。
 市内の救急出動件数は、27年に過去最多となる2003件を記録するとともに、初めて2000件台を突破するなど、東日本大震災以降は変動を繰り返しながらも、増加傾向にある。
 28年の出動件数の内訳は、大船渡消防署管内が1306件、三陸分署管内が179件、住田分署管内が335件、綾里分遣所管内が156件となった。
 搬送者数は、同36人減の1869人。年齢別に見ると、70歳以上が1092人と約6割を占める。特に80代は549人と、全体の約3割にのぼった。また、19~69歳が694人、18歳以下が83人だった。
 搬送種別は、急病が1421人で最多。一般負傷が189人、転院が112人、交通事故が110人。傷病の度合いは、軽傷が1095人、中等傷が452人、重傷が261人、死亡が60人だった。
 搬送先は、最も多い県立大船渡病院が1794件1808人で9割を超えた。
 過去5年間で最多となった火災件数は、過去10年間を見ても23年の20件に次いで多い。内訳は、建物12件、車両1件、その他4件。建物火災のうち、6件が全焼した。
 12月に大船渡市三陸町越喜来で発生した住宅火災では、住民1人が亡くなった。林野火災は、2年ぶりにゼロを記録した。

 

 救急搬送数は震災後最多に/陸前高田市

 

 陸前高田市消防本部(佐々木誠消防長)によると、28年における市内の救急出動件数は前年比35件増の843件。2年連続で800件台で、震災後最多となった。火災は前年比2件増の7件だったが、被害はいずれも小規模で、死者はなかった。
 市内の救急出動件数は、17年の858件をピークに減少し、20、21年は700件台が続いた。しかし震災後は年々増加傾向にある。
 搬送者数は前年比1人増の809人で、一昨年と比べると47人増。年代別にみると、65歳以上が前年比6人増の570人と7割を占め、以下、成人(18~64歳)210人、少年(6~17歳)17人、乳幼児12人となった。
 搬送種別にみると、最も多いのは急病582人で、前年よりも30人増加。一般負傷は同24人減の101人だった。
 搬送先は、県立大船渡病院が754人と9割超を占めた。高田病院は50人、気仙沼市立病院は5人。
 一方、火災は建物2件、車両2件、その他3件の計7件。建物火災はいずれもぼやで、負傷者数は計2人。
 林野火災は26年以来2年ぶりのゼロ。昨年は1件発生したが、焼失面積は1㌃で、25年の2件合わせて19㌃と比べると、この3年間は目立った被害はない。
 戸羽進予防係長は「全焼火災がなく、林野火災もゼロとなったが、7件という数字は少ないわけではない。今後も予防広報に努めていく」と力を込める。