再会に笑顔弾ませ、中上仮設団地「同窓交流会」/陸前高田で(別写真あり)

▲ 笑顔を交わし、なごやかな雰囲気に包まれた交流会=陸前高田

 住田町下有住の中上仮設住宅団地に入居した東日本大震災被災者らが集う「自治会同窓交流会」は16日、陸前高田市高田町のキャピタルホテル1000で開かれた。平成23年5月に完成して以降、一緒に生活を送った住民たちや〝ご近所さん〟として交流を深めてきた町民らが姿を見せ、再会を喜び合いながら歓談。苦楽をともにした木造仮設での生活を振り返り、今も変わらぬ結び付きの強さを確認し合った。

 

結び付き 今も変わらず

 

 中上仮設は旧下有住小学校グラウンド内に震災直後に整備され、当時は戸建ての木造仮設住宅が63戸建ち並んでいた。陸前高田での被災者を中心に全戸で入居があったが、町によると、現在の被災者の住居利用は17戸となっている。
 気仙両市での宅地造成や災害公営住宅整備の進展とともに、入居者は日々減少を続け、一部は再利用などのため撤去された。下有住地区公民館や、仮設住宅支援を展開している邑サポートは、団地生活を通じて心を通わせた人々が集まる場を設けようと企画。町老人連合会の協力を得て実現した。
 現在も入居している住民や、町外で暮らしている陸前高田出身者、団地住民と交流が深い町関係者ら約40人が出席。多田欣一町長は「元気で明るい声を聞くことができてうれしい。住田での生活を忘れず、これからも仲良くしていただければ」とあいさつした。
 乾杯後は、なごやかな雰囲気の中で歓談。近況や思い出話を語り合い、再会のひとときを満喫した。
 震災前は気仙町上長部に自宅があり、現在は奥州市内で暮らす小泉トシヨさん(62)。25年10月まで2年余り入居していたが、当初は希望を見いだせず、気分も沈みがちだったという。
 24年の夏、団地に暮らす住民らとともに、住田町側の黒岩コースで五葉山登山に挑戦。雲間から山あいの住宅地を見下ろし「私も頑張ろう」と、住宅再建への決意が固まった。さらに登山道で会話を交わし、参加者同士で心を通わせることができた。
 その後も一緒に登山に出向いた思い出は、今も鮮明によみがえる。「きょうの交流会は楽しみにしていたし、みんなとまた会えて本当に良かった。仮設住宅の生活は10年、20年と一緒にいたかのような凝縮したものだったし、仲良くなってからは楽しかった」と、笑顔を見せた。
 交流会では、団地整備後に下有住での「収穫祭」に出演するため結成されたのがルーツとなっている「柳下バンド」の演奏も。踊りの余興では終始笑い声が響き渡るなど、盛り上がりを見せた。
 この日は社協の生活支援相談員として23年度から見守り訪問活動などを重ねてきた畠山朋也さん(28)も出席し、笑顔を交わした。「男性の参加も多く、安心した。中上は最初から『おたがいさま』の雰囲気があったと思う。住田に仮設が整備され、知らない人同士が集まってきたが、だからこそ自然と助け合いや新しいコミュニティーが生まれ、いい方向になったのでは」と話していた。