新春インタビュー/2017挑む!!気仙人④ 住田テレビ担当キャスター・及川成子さん(26)

発信、記録通じて貢献を


 ──まずは、住田テレビの紹介を。
 及川 テレビ地上デジタル放送化による難視聴といった課題解決に向け、平成20年4月に開局した町営のケーブルテレビ局で、行政情報や地域の話題をニュースとして提供している。加入は現在約2200世帯で、町内ほぼすべての家庭で視聴できる。私は報道制作業務全般が担当。情報収集から始まり、現場取材、原稿・映像編集を行い、「すみたホットライン」ではキャスターとしてスタジオからニュースを伝えている。
 ──ケーブルテレビでの仕事を志したきっかけは。
 及川 住田テレビの業務を受託している㈱遠野テレビに入社したのは、大学卒業後の平成25年4月。大学時代、コミュニティーFM局で、番組アシスタントのアルバイトをしていた。リスナーから寄せられたメッセージがどんどん広がり、一つのまちのコミュニティーに生かされる情報の力の大きさを実感した。
 自分も情報発信を通じて地域に貢献したいと思い、遠野出身なので地元にある遠野テレビに入った。住田テレビでの常駐は27年1月からで、ちょうど2年を迎えた。
 ──取材を通して感じた、住田の魅力や課題は。
 及川 住田に来て感じたのは、行事の多さ。人口減少で伝統芸能や行事が継承されなくなっている地域も多い中で、住田は住民が少なくなっても伝え残そうと一生懸命取り組んでいる。
 ただ、この先もっと人口減少が進めば、途絶えざるを得ないかもしれない。その時に、次の世代にどうつなげるかが、課題になるのでは。住田テレビは記録としても取材し、未来に引き継いでいくことができればと思っている。
 ──業務で心がけていることは。
 及川 まずは、コミュニケーション。私は、住田の地域文化や伝統は何も分からない状態で入っている。聞き取ることが大事。ニュースを拾い上げる情報収集は、他のスタッフの仕事にも大きくかかわってくるので、とくに大切にしている。
 撮影時のポイントは、周囲をよく見ること。ファインダーをのぞくだけでは、視野が狭まってしまう。周りを見渡し、どういう状況かを把握しながら撮影している。スタジオに入れば、町民の皆さんに情報を伝えるという立場。第一は「とにかく分かりやすく」を心がけている。
 ──住田テレビは町民にとって、どのようなニーズがあると感じているか。
 及川 まず、行政情報や防災情報の発信が、大事な役割。加えて、私たちのコンセプトは「見るテレビから、使うテレビへ」。私たちは町民の皆さんにとって、一番近いテレビ局。伝えたいと思っていることを住田テレビを通じて知らせるのも、大きな役割と思っている。地域の身近なイベントを吸い上げ、発信することも求められている。 
 ニュースで取り上げる中で、どういう切り口でつくれば伝わりやすいのかや、その人の魅力をどう引き出すかは、いつも悩むところ。半面、情報収集から制作まで、自分がイメージしている番組内容や表現、構成を追い求めることができるのはやりがいでもあり、今はやりたい仕事ができていると思う。休日にコンビニエンスストアで「きょうは休みなの?」と気軽に声をかけられるとか、多くの住民の皆さんに見ていただいていると実感する機会も多い。
 ──今年の抱負を。
 及川 ニュース取材のほかに、住田で輝いているヒト・モノ・コトを月替わりで紹介する20分の企画番組「輝け!すみた」も担当し、2年目になる。今後も番組を通して、住田町の皆さんに感動や新しい発見をもたらしたい。
 番組の中で最も印象に残っている取材は、昨年1月の「水しぎ」。世田米に伝わる奇習で、伝統芸能に込める地域の皆さんの思いを聞き出したいと思っていたら、仮装の「水しぎっぺコンテスト」に私が出ることになり、優勝してしまって…。自分も一緒になって楽しんだ。今年もコンテストには出る予定なので、頑張りたい。 (聞き手・佐藤 壮)