7月から先行運用開始、合足農地海岸水門の自動閉鎖システム/大船渡

▲ 7月から水門自動閉鎖システムの先行運用が始まる合足海岸=赤崎町

 県はこのほど、津波注意報・警報発令時に自動で水門・陸こうを閉鎖するシステムについて、7月から大船渡市と宮古市で計8基の運用を先行して始める方針を示した。今後、平成31年度までに約220基を自動閉鎖できるようにしていく。
 先行して運用するのは、大船渡市赤崎町の合足海岸の2基と宮古市の神林海岸2基、高浜海岸4基。4月からは合足海岸で3カ月間の試験運用を行っていく。
 同システムは、国が発令する津波注意報・警報を県が全国瞬時警報システム(Jアラート)で受信すると、衛星回線を通じて施設に閉鎖命令が出され、自動で水門・陸こうが閉鎖されるもの。
 沿岸部の水門・陸こう約520基のうち、約300基は常時閉鎖やフラップゲート式となり、残る約220基が自動閉鎖の対象となる。
 このうち、合足漁港に臨み、後背地に農地が広がる合足農地海岸は、震災の津波で東京湾平均海面を基準とした高さ9・0㍍の防潮堤が崩壊。県により25年3月から復旧工事が進められ、28年3月までに完成した。復旧延長は234㍍、高さは従前より5・1㍍高い14・1㍍。
 震災により、本県では水門・陸こうの閉鎖作業に当たった消防団員48人が犠牲になった。県では消防団員が現地へ向かうことのないように自動閉鎖システムを導入し、安全かつ迅速・確実な閉鎖につなげる考え。
 閉鎖開始前にはサイレンや音声、回転灯、電光掲示板などで閉鎖を知らせるほか、避難し遅れた場合でも階段などで陸側に避難することができる。異常が起きて自動閉鎖されない場合は、遠隔操作で対応する。
 衛生通信系の事業費は48億1140万円で、維持費は年間1~2億円。県は31年度までにすべてのシステム整備完了を目指しており、合足海岸でも今後設備据え付けを行っていく。併せて、自動閉鎖システムに関する住民説明会や広報誌での周知も図っていく。