水しぎ「見っさいな」多彩に、一の会に合わせてコンテストも/住田(動画、別写真あり)

▲ 平日ながら地元内外から多くの参加があったコンテスト=世田米
▲ よりあいカフェ「しょうわばし」などを回った水しぎ=同

 住田町世田米に伝わる火伏せの奇習「水しぎ」は24日、地区内で行われた。継承活動を続ける愛宕地区青年団「一の会」(佐藤昌信会長)の活動に合わせて「水しぎっぺコンテスト」(実行委主催)も開催。地元住民だけでなく町外参加も目立ち、ともに奇抜な格好で伝統を楽しみながら絆を深めていた。
 今年は30人余りが参加。愛宕公民館でメークや着付けを行って道化となり、2班に分かれて約350軒を巡回した。
 参加者らは木の棒で一斗缶を打ち鳴らしながら「見っさいな、見っさいな」と演舞。仮装したみんなが一団となって踊ることで恥ずかしさを忘れるといい、活気に包まれた。
 一昨年、昨年と24日は週末だったため、今年は新庁舎となって初めて町役場も訪問。世田米小、世田米中も回り、喝采を浴びた。
 毎週火曜日に世田米商店街沿いで町社協が開設している中心型よりあいカフェ「しょうわばし」でも、心待ちにしていた高齢者らが歓迎。本年度から本格利用が始まった「まち家世田米駅」付近でも舞を繰り広げ、多くの住民や来訪者を魅了した。
 巡回後は、同施設で水しぎっぺコンテストを開催。水しぎを通じて新たな交流を育むきっかけにしようと、町内外の有志による実行委員会が主催し、4回目を迎えた。
 今年は県内外から9人がエントリー。部門ごとに、一人ひとりアピールポイントを語り、輪になって大黒舞を披露した。
 見物人らが一斗缶を打ち鳴らした音の大きさや審査員による選考の結果、「おネエキャラ」で独特の存在感が際立っていた世田米小主任用務員の菊池利彦さん(51)が優勝。「一の会の皆さんには、小学校で権現様を指導してもらっており、そのお礼を込めて参加した。あれよあれよという間に優勝してしまい、とてもハッピー」と語り、笑顔を見せた。
 コンテストを主催した実行委員会の山内哲委員長(33)は「町外の方々にもだいぶ知っていただいて、平日ながら多くの参加があり、安心している」と手ごたえを得た様子。一の会の佐藤会長(51)は「防火と無病息災に加え、団員らの親睦が大きな目的。地元外からも、今後どんどん参加してもらえれば」と話し、期待を込めた。
 水しぎは世田米に約200年前から伝わる奇習で、毎年1月24日に挙行。世田米が宿場町として栄えた昔、偶然ボヤを見つけた通りすがりの物乞いが鍋釜をたたいて住民に知らせ、大火事を防いだのが始まりとされる。
 戦後しばらく途絶えた時期があったが、昭和51年に一の会が復活。曙地区の消防団員らで構成する下町消防も伝承活動を続け、今年は22日に開催した。