30年度から〝新方式〟導入、浄化センターの運営/大船渡
平成29年1月29日付 1面
大船渡市は、大船渡町欠ノ下向地内にある大船渡浄化センターの運営手法などに関し、平成30年度から〝新方式〟を導入しようと検討を進めている。従来は施設の設計・工事、複数の維持管理業務を単年度で各機関に個別発注していたが、新方式では施設の改良工事、更新計画の提案なども加えて一括し、5年契約で民間事業者に委託。汚水処理は高効率の方式に見直し、今後予想される人口減少への対応やコストの縮減などにつなげたい考えだ。
設計から維持管理まで一括、民間事業者と5年契約
同市の下水道事業における、全体計画に対する平成27年度末の整備率は約40%。市は未整備区域での管路整備を進めており、下水道整備がおおむね完了するまでは、供用区域の拡大に伴って下水道の利用人口が増えるとして、処理を要する汚水量の増加を見込んでいる。
大船渡浄化センターは、下水道で集められた汚水を処理する施設。汚水処理施設は2系列あり、1日あたりの処理能力は、6400立方㍍。
その処理水量は、災害復興等の進ちょくによって年々増加。設備全体の老朽化も進んでいる。このため、処理能力の向上を図り、既存設備の更新や長寿命化を継続的、計画的に進める必要が生じている。
一方、市の人口は将来、減少すると予想。処理すべき汚水量は30年度終盤に頂点に達し、その後は徐々に減少していくと見込まれている。
このような背景もあり、今後の下水道事業は、中長期(20~30年間)にわたった経営に視点を置き、新技術の導入やコスト縮減など、効果的、効率的な方法で推進することが重要な課題となっていた。そこで、市は24年度から国の支援を受けながら、有識者を交えて最適な対応策の検討を進めてきた。
その結果、PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ、公民連携)と呼ばれる手法を活用し、民間事業者のノウハウや創意工夫を最大限に生かすことで、より効果的、効率的な施設の増強、更新、維持管理運営が達成可能との見通しを立てた。
従来、施設の設計・工事、複数の維持管理業務は、単年度契約で個別に発注。新たな手法は、これらの事業に加え、施設の改良工事や更新計画の提案なども一括し、5年契約で民間事業者と結ぶこととなる。
契約方式も、発注者(市)が受託者の行うべき業務を全て詳細に規定する「仕様発注」から、受託者が達成すべき結果(基準等)のみを発注者が規定し、そのための方法は受託者が検討、決定する「性能発注」に変更。市によると、同規模の自治体でPPPを活用し、整備途中の段階から施設の改良と維持管理を一括して民間事業者へ委託するのは、全国的にもあまり例がないという。
新方式に移行する当初5カ年は、既存設備を稼働させながら、処理方式の変更などによる改造により、設備は増設せずに処理能力の増強を図る予定。経営面では、中長期的な視点を含めた業務提案を求めることにより、トータルコストの縮減、事業費の平準化による施設のマネジメント効果の向上が期待される。
汚水処理能力は、現行計画において処理系列を増設して4系列にするとしているが、処理スピードを速める最新技術の導入に見直す予定。新たな処理方式の場合、5カ年当たりの試算によると、施設整備費は現行計画より27億800万円減の17億4500万円に、維持管理費は6400万円減の約6億8900万円になるという。
新方式による事業者の選定は29年度、事業提案の評価によって受託業者を決める「公募型プロポーザル方式」で行う。対象施設は、浄化センターとマンホールポンプ。
市は中長期の事業構想として、同40年代後半にかけて消化設備の導入、し尿等のバイオマスを加えて生じる消化ガスを利用した発電の実施も視野に入れる。これらを通じて発生汚泥、所内消費電力の削減などを図り、維持管理・運転コストのカットを検討していく予定だ。
戸田公明市長は「この新たな事業方式を〝大船渡方式〟として、ぜひ全国に先駆けて実現させ、ほかの自治体の運営モデルにしたい」と話している。





