償還額や安全性を確認、新庁舎建設で当局説明/陸前高田市議会復興対策特別委
平成29年1月31日付 1面
陸前高田市議会の復興対策特別委員会(及川修一委員長)は30日、議場で開かれた。同委員会付託事案のうち「市役所新庁舎建設位置の選定」について調査するため、予算や安全性などさまざまな角度から市当局に質問を投げかけた。
この日は、同委員会からあらかじめ提出されていた質問をもとに、まず当局側が説明。庁舎建設に係る起債償還について、これまで示されている四つの案ごとに市の財政負担、利子額、返済の見通しなどについて示した。
それによると、起債額は案1(高田町の農免道沿い)で42億3700万円、案3の2(高田小での新築)で32億6900万円と、最大で9億円以上の開きがある。
市民からの賛意が多く寄せられている二つの案のうち、案2の「現庁舎位置」の元利償還額(1~10年目)は年間約2億円、「高田小での新築」の場合が1億3000万円。11~30年目の元利償還額は、それぞれ年間約1億2100万円、1億1300万円となる。これらは現在の市の償還に上乗せされるもので、道路や公共施設の整備が進めば、その分の借入額も加算される。
これについて委員の一人から「公共施設等整備基金はどのような位置づけか」と問われると、「残高は約13億円あるが、庁舎だけではなく、今後の公共施設整備全般に使うもの。全体的なバランスをみながら、補助の対象とならない備品購入などでも活用を検討していかなければならない」と答弁し、市役所建設単独で使う意図はないとした。
「現庁舎位置」を採用した場合について、費用を圧縮するという観点から「新たに仮設庁舎は建てず、現高田小学校を利用できないか」と尋ねられた当局は、「新高田小の竣工は平成31年度から32年度にかけてで、市役所整備と重なる。それまで現小学校は授業で使われている」と答弁し、高田小は仮庁舎には充てられないという見解を示した。
安全性の確保に関する質問も活発に出され、「3案の2(高田小での新築)が採用されたとして、大津波警報が発表された場合、市職員にも避難指示が出されるのか」との問いかけには、「大津波警報の場合、どれほどの大きさの津波が来るかわからないので、『今いるところより高い場所』へ避難するよう指示を出す」と答弁した。
当局退出後、同委員会はこうしたやりとりをふまえ、委員同士でさらに自由討論を重ねた。