復興につながる交流を、劇団OPAの子どもらが10月上旬に福島公演

▲ 昨年12月の公演も好評を博した「まな子と瞳」に参加したOPAメンバーたち=三陸町

 気仙両市の小中高生らで構成する劇団OPA(大船渡パフォーミングアーツ、今野晋司代表)は今年、福島県での「詩劇 まな子と瞳」公演参加に向けて活動を進める。公演は仙台市に拠点を置く劇団I’M(アイム、三木弘和代表)によるもので、昨年12月に三陸公民館での舞台に参加した子どもたちは、劇中に渦巻く「見えない力」を演じ、成長を遂げた。ともに東日本大震災からの復興へと歩む福島での成功を見据え、OPAは活動の広がりを誓う。

 

今年の活動スタート

 

 平成26年2月に設立したOPAは、東日本大震災後に立根町の有志らが結成した「下欠復興有志の会」が前身。同会では、アイムの大船渡出身メンバーから演技指導を受け、気仙の避難所で慰問活動を展開。OPAと改称後も、アイムとの交流を続ける。 
 「まな子と瞳」は、アイムの劇団発足20周年を飾った作品。津波による死に直面し、さまざまな思いに取り巻かれながらも前へ進もうとする「まな子」と「瞳」が中心に描かれた物語で、東北の「希望と再生」に主題が置かれている。
 昨年12月10、11日、津波全壊後に修復を果たした三陸公民館で公演し、OPAのメンバー14人も舞台に立った。独特な身体表現が求められる「コロス」を演じ、まな子や瞳を取り巻く出来事や彼女たちの心象など、目に見えない力を奇怪な動きで表現した。
 

ワークショップでダンスに励む子どもたち=立根町

ワークショップでダンスに励む子どもたち=立根町

成功から1カ月余りが経過し、先月28日に今年初となるOPAとアイムによるワークショップが立根町の下欠公民館で開かれた。子どもたち5人が参加して約3時間にわたり行われ、前半はダンスの稽古に取り組んだあと、後半は芝居表現にみがきをかけた。
 発足時から参加している大船渡一中1年の高松汐音さん(13)は「ダンスが得意なので、稽古は楽しい。ヒップホップ以外のダンスにも挑戦してみたい」と笑顔で話し、今年の成長を誓っていた。
 ワークショップと並行し、両劇団の関係者は今後の活動展開を協議。この中で「まな子と瞳」を10月上旬に福島県いわき市で公演することを決めた。すでに仙台でも公演を成功させており、東日本大震災で甚大な被害を受けた3県を回ることになる。
 OPAはこれまで大船渡での披露が多く、地元住民らに感動を届ける活動を中心としてきた。福島公演は、相互の復興につながる交流を生み出す役割も期待される。
 今後は演じる団員拡大に加え、一般世代も含めた照明などのスタッフ募集にも力を入れ、気仙からの発信力強化を図る。今野代表(56)は「震災という同じ境遇を持つ人々に、舞台の力で何かを届けることができれば」と力を込める。
 稽古は毎週日曜日午後に行い、月1、2回程度アイムとのワークショップを予定している。次回は25日(土)午後1時からカメリアホールで行い、見学も可能。問い合わせは今野代表(℡090・8423・4884)へ。