〝選挙モード〟徐々に、新人1人が出馬の構え/住田町長の任期満了まで半年

 住田町の多田欣一町長(71)=世田米=は、4期目の任期が残り半年となった。昨年の町議会12月定例会で勇退を表明し、今夏に控える町長選では16年ぶりの新リーダー選出が確実となっている。現段階で出馬を表明している新人は会社役員の神田謙一氏(58)=下有住=のみ。後援会組織が発足するなど〝選挙モード〟に入りつつある中、8年ぶりの競争選になるかが当面の焦点となる。

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神田謙一氏


 今年の町長選は、昭和30年の町政施行から数えて17回目。任期満了は8月4日で、選挙日程は春に開かれる町選挙管理委員会で決まる見通し。平成25年の前回選は7月16日告示で、今回も7月中旬から下旬にかけての選挙日程が予想される。
 町制下では最長となる連続4期目の多田氏は、13年に無投票で初当選。17年の無投票再選をはさみ、21年は新人との一騎打ちを制した。25年の前回選は、無投票で4選を飾った。
 支持者の中には5期目の期待もあったが、昨年12月9日の町議会12月定例会最終本会議で勇退を明言。任期満了まで7カ月以上残す中での表明は異例で、町長選としては長期戦がスタートした。
 この中で最初に名乗りを上げたのが、かねて出馬が取りざたされていた神田氏。獣医師であり、住田町農協での家畜診療所勤務などを経て、現在は住田フーズ㈱常務取締役を務めている。
 昨年12月30日に開いた記者会見では「住民目線を大切に『医・食・住』をベースに取り組みたい」と強調。町政課題に人口減少対策を挙げながら、住みよいまちづくりへの決意を示した。
 これまで町教育委員も務めていたが、先月退任。同27日には後援会「神田謙一と明日の住田を創る会」が発足した。後援会長は泉金一氏(世田米)、会長代行は紺野一夫氏(上有住)、幹事長は佐藤啓一氏(世田米)が就いた。
 神田氏以外では、過去の町長選でも関心を集めた複数の町議の動向が注目されてきた。このうち、水野英哉氏(61)=上有住=は、前任期で議長を務めるなど政治面で全町的に知名度があり、出馬に期待する声も受けているという。
 東海新報社の取材に対し、水野氏は「検討中」の姿勢。「多田町政を発展させなければいけないとは考えている。(態度表明は)早ければ早い方がいいと思うが、支持者の方々との認識共有を優先したい」と語る。
 別の町議は先月、支持者らとの会合を経て、不出馬を決めた。「出馬すべき、戦うべきとの声も受けたが、狭い地域の中で支持を分断させるわけにはいかない。議会などの中で町政発展に貢献していきたい」としている。
 新リーダー候補の動きに関心が集まる一方、多田現町長は新年度予算編成を控えている。すでに「骨格予算にはしない。私が思っていることをやりたい」との考えを示しており、〝総仕上げ〟の行方も注目される。
 「森林・林業日本一」を目指してきた中、その成果の総括と次期リーダーにどう道筋をつけるかは、選挙戦でも論点の一つになると予想される。さらに住民の多くは医療・福祉分野の充実を切実に願うほか、歴史・文化資源の活用、交流人口拡大を見据えたまちづくりも急がれる。
 町長選としては今回初めて18、19歳の町民にも選挙権が与えられる。2月2日現在の有権者数は5125人(男2494、女2631人)。前回選の告示前日(20歳以上)と比べて、259人少ない。