防災センターが完成、14日から仮運用開始/大船渡市

▲ 14日に仮運用を開始する大船渡市防災センター=盛町

 大船渡市が新たな防災拠点として盛町字下舘下地内に整備してきた市防災センターが完成し、14日(火)に仮運用を開始する。同日、「緊急通報用電話番号(119番)」を切り替え、15日(水)からは全職員がセンターで勤務する体制となる。本格供用は、通信設備の移転完了後となる4月1日(土)からを計画。センターは消防職団員の訓練や市民向けの防災教育に対応した設備も充実しており、住民の安全・安心を守り、防災意識を高めるシンボルとなりそうだ。

 

4月に本格供用へ、安全・安心のシンボルに

 

 防災センターは、昭和38年に建設された現消防庁舎(盛町字木町地内)の老朽化を受けて整備。市による建設計画は平成21年度、現庁舎敷地へ新たに建設する構想でスタートしたが、東日本大震災の発生により、建設場所も含めて24年から再度検討を進めた。
 建設場所には、幹線道路や医療機関、警察署などへのアクセス利便が高く、海抜約35㍍の位置にあるリアスホール西側を選定。用地取得後、26年11月から27年5月下旬まで造成工事を行い、同年10月15日に着工した。
 設計・監理は㈱佐藤総合計画、施工は淺沼組㈱・豊島建設㈱特定共同企業体が担当。今年1月29日までの工期で整備が進められ、市による完了検査を経て、10日には施工業者から建物が引き渡された。
 完成したセンターは、鉄筋コンクリート造一部鉄骨造(耐震構造)4階建ての庁舎棟(延床面積3235・24平方㍍)と、鉄骨造4階建ての訓練塔(同122・02平方㍍)などで構成。事業費は、17億2635万円。大船渡地区消防組合、大船渡消防署、市消防団本部が入る。
 庁舎棟には、消防署事務室、免震床を施した通信指令センター、消防団本部室兼災害対策室などを設置。現庁舎にはない設備として、出動準備室、展示ホール・見学スペース、水難救助訓練用プール、煙体験室なども設けた。防災教育にも活用できる機能を備えている。
 訓練塔は、マンション火災や立坑救助を想定した訓練にも対応し、1階部分には非常用備蓄庫を配置。駐車場(一般用13台、職員用30台)、駐輪場(自転車15台)、自家給油所(ガソリン4000㍑タンク、軽油6000㍑タンク)、土のう置き場なども整備している。
 今後は現庁舎からの引っ越し作業を進め、14日には119番の受信場所を防災センターへ切り替える作業を行う。当日は現庁舎、センターにそれぞれ職員を配置し、119番を含む電話回線の不通がないようにする。合わせて、市防災行政無線端末装置の移設も予定する。
 これに先立ち、13日(月)午後6時には、一般電話回線をセンターへ切り替え。センターには職員を配置し、一般回線による緊急通報、問い合わせなどに対応する。電話、ファクスの各番号、メールアドレスに変更はない。
 119番の切り替えに伴い、15日からは全職員がセンターで勤務。ただし、全ての通信設備が移転を完了するのは3月25日(土)のため、本格運用は4月1日からとなる。落成式は、同月中に開催する予定。
 大船渡消防署の大久保守正署長は「全国的に複雑化する災害が多発する中、センターで消防職団員の実践的な訓練の充実を図っていきたい。また、市民を対象とする防災教育機能も兼ね備えており、大いに活用して防災力も高められれば」と話している。