復興・地域発展のリーダーに、未来創造塾最後の塾生11人巣立つ(別写真あり)

▲ 第4期で最後となった「人材育成道場・未来創造塾」の卒塾式=大船渡市魚市場

 経営者や東日本大震災からの地域復興を担う人材を育成する「人材育成道場・未来創造塾」の第4期卒塾式は12日、大船渡市魚市場で開かれた。同塾最後の開講となった今期は、気仙、釜石地区の若手経営者や団体代表ら11人が晴れて卒塾。宮城県の気仙沼・南三陸を含む全9期の取り組みを振り返る、クロージングセレモニーも開かれた。同塾では、岩手、宮城から総勢153人を輩出。卒塾生らは震災からの復興、地域発展のリーダーとして飛躍することを誓い合った。

 

岩手・宮城から153人輩出

 

 未来創造塾は、震災を事業拡大や再構築のチャンスととらえ、経営者や地域リーダー育成を支援する人材育成プログラム。経済同友会などによる東北未来創造イニシアティブの提案を受け、気仙、釜石、気仙沼各地区の市町や商工団体、金融機関などが連携し、平成25年度から各地区で行ってきた。
 塾長はイニシアティブ代表発起人で、生活用品会社大手「アイリスオーヤマ㈱」(仙台市)の大山健太郎代表取締役社長。有限責任監査法人トーマツや有限責任あずさ監査法人、㈱日本政策投資銀行、㈱博報堂などが講師派遣などで全面協力した。
 気仙・釜石の第4期は昨年8月に開講し、16人が入塾。金融、リーダーシップなどを各分野のプロから学ぶとともに、個々で事業構想を立案。自らと向き合い、研さんしながら、気仙の5人を含む11人が卒塾の日を迎えた。
 卒塾式には塾生をはじめ、講師陣、来賓ら約180人が出席。高校生たちの姿も見られた。
 野田武則釜石市長による開式の辞、大山塾長のあいさつになどに続き、第4期生が登壇。塾生を代表し、金子正勝さん(㈱金子ルーフ工業代表取締役、大船渡市)が「これまで6カ月間、苦しいながらも向かい合い、この塾の貴重な価値を理解する一人になった。このような機会が続けば、地域の人材は成長していくようにも思う。自分の言葉に気持ちをのせ、精いっぱい伝えたい」と、多くの支えに感謝の意を込め、決意を表明した。
 その後、塾生一人ひとりがスピーチを行い、自らが掲げるビジョンと挑戦への思いを発表。自身の事業を発展させるだけではなく、震災からの復興に携わりたい、地元地域や地場産業を盛り上げたいとの思いを熱心に語った。代表塾生らによる、事業構想の発表もなされた。
 代表発起人である東北大学大学院の大滝精一教授は、「未来は一つではなく、いろいろ変化していく。自身の力で切り開き、つくりあげ、新しい未来、ビジネス、地域のモデルをつくってほしい」と塾生らを激励。戸田公明大船渡市長も頼もしい地域リーダーの旅立ちを祝福し、「4回目の塾で終わるが、市としてはさまざまな教えをもとに、同じような活動を継続していく」と述べた。
 引き続き、未来創造塾の終了にあたってのクロージングセレモニーを開催。153人の卒塾生を代表し、第1期塾頭の青木健一さん(㈱青紀土木代表取締役専務、釜石市)が卒塾生らの今を紹介するビデオを交えながら、「153人の仲間と、課題先進地といわれるこの場所だからこそできる元気をつくっていきたい。塾はこれで終わるが、これからも変わらず支援と指導をお願いしたい」と述べた。
 大山塾長は結びのあいさつで、「153人の塾生は6年前に震災を経験し、被災した地域を自分の力でいいまちにしたいという、強い思いで入塾した。強い意志と仲間、チームワーク、アイデアをもって、一歩一歩進んでほしい」と呼びかけた。
 最後の卒塾生の一人、竹野美貴子さん(36)=タケノ文具店長、大船渡市=は「志願をして入塾したわけではなかったが、やっているうちに引き込まれ、いい経験をさせてもらった。事業構想をやりだせるところまでつくりあげられたので、今年中にはアクションを起こしたい」と意欲を見せていた。