赤崎中生徒と最後の交流、資生堂ジャパン/大船渡(別写真あり)
平成29年2月17日付 7面

ツバキが結んだ5年間
校舎移転機に一区切り
大船渡市の赤崎中学校(横田一平校長、生徒77人)で15日、つばき油を使った調理実習とツバキの俳句集贈呈式が行われた。資生堂ジャパン㈱(東京都)による「椿の里プロジェクト」の一環で、調理実習には市漁協女性部のメンバーも協力した。同社では、同校の新校舎移転を機に、東日本大震災後から続けてきた同校での活動をいったん終了することとしており、この日が生徒たちとの最後の交流。生徒や同社スタッフらは、ツバキがもたらした縁に感謝しながら、5年間の集大成に臨んだ。
資生堂グループは、㈱資生堂が商標を「花椿」とする縁で、市の花がツバキである大船渡市の復興支援活動を平成24年から展開。ツバキの産業化を目指す「椿の里プロジェクト」に取り組んでいる。
同校での活動は、同年に仮校舎前で行われたツバキの植樹活動をきっかけにスタート。インターネットで生徒と社員が情報交換する「WEBミーティング」や、搾油体験会といったツバキに関する授業のほか、修学旅行の際に生徒たちが同社を訪問するなど、さまざまな交流が続けられてきた。
ツバキが植樹されたのは、現在も生徒たちが通う仮設校舎前。当時の3年生の人数と同じ41本を植えた。生徒たちは、毎日の水やりのほか、冬の雪囲いの設置など、ツバキの育成に力を注ぎ、後輩たちにそのバトンを渡してきた。
ツバキの俳句集は、学校生活をともに歩んできたツバキに、生徒たちが思いを寄せて詠んだ作品を一冊にまとめたもの。1㌻に1作品が掲載されており、同社宣伝・デザイン部のスタッフが、俳句からイメージしたツバキのイラストが添えられている。
同校体育館で行われた贈呈式には、全校生徒が参加。スライドショーで5年間の活動を振り返ったあと、3年生に俳句集が、1、2年生にツバキをあしらったノートが手渡された。
式に先立って、3年生31人を対象とした調理実習も行われ、ツバキの油を使ったけんちん汁や、なべやきづくりにチャレンジした。
同社スタッフや市漁協女性部のメンバー3人から指導を受け、生徒たちはにぎやかに調理していた。
比田達人君は「つばき油を使った料理は、以前作ったことがあるけど、けんちん汁は初めて。上手にできた」と満足げだった。
今回で、同社が5年にわたって続けてきた同校での活動はいったん終了する。同社の岡野谷尚美さんは「市内での活動はこれからも続けていく。当社も赤崎中との交流でさまざまな経験ができた。他の学校からも要請があれば、協力していきたい」と話していた。