地域の安心・安全へ決意、第26回暴力追放市民大会/大船渡

▲ 暴力団の追放に向けて、意識を高め合った参加者たち=盛町

 暴力団追放大船渡市民会議(宮澤信平会長)が主催する第26回市暴力追放市民大会は16日、同市盛町のリアスホールで開かれ、市内の関係者ら150人余りが出席した。復興事業への暴力団介入といった被災地特有の問題や、活動資金獲得を狙った特殊詐欺の多発が懸念されるなか、参加者は安心・安全な街の実現に向け、暴力追放・犯罪抑止の決意を新たにした。
 大会は、暴力団の追放意識高揚と、積極的・効果的な追放運動を展開しようと、昭和63年から毎年行われている。東日本大震災による開催中断があったものの、平成25年に再開した。
 この日は、行政、警察、防犯、交通安全、女性団体、消防、学校などの各関係者が出席。冒頭、あいさつに立った宮澤会長は「暴力団は、社会情勢の変化を利用し、多種多様な形態で一般社会からの活動資金獲得に動いている」と指摘。「地域や団体、警察などとの連携を強めながら、安心・安全な市民社会の実現を目指す」と決意を述べた。
 続いて、来賓の戸田公明市長、大船渡署の髙橋仁署長、県暴力団追放推進センターの箱崎安弘理事長が祝辞を述べた。
 このあと、同署刑事課の戸塚教行課長が「最近の暴力団情勢等について」をテーマに講演。全国・県内での暴力団の分布状況のほか、6代目山口組と神戸山口組による対立抗争などについて、解説した。
 それによると、27年末時点での全国の暴力団構成員は約4万6900人。警察活動によって、年々規模が縮小しているという。
 ただ、同年に6代目山口組が分裂して神戸山口組が結成されて以降、山口組と神戸山口組は、互いの組織の切り崩しを行っており、対立抗争に発展している。
 東北でも、秋田県秋田市や宮城県仙台市で抗争とみられる事件が発生した。
 県内の暴力団は、同年末時点で、11団体約230人。全国と同様、規模は小さくなっているが、山口組分裂の影響で、神戸山口組系の暴力団組織が立ち上げられるなど、抗争が発生してもおかしくない不安定な状況が続いているという。
 戸塚課長は、県内で暴力団が絡んだ事件の実例も紹介し「暴力団の不当な要求には毅然(きぜん)と対応し、警察に相談することが何よりも大切」と呼びかけた。
 最後に、暴力団を▽利用しない▽恐れない▽金を出さない▽交際しない──という「三ない運動+1」を、同市民会議幹事で、大船渡青年会議所の金貴之理事長が朗読。参加者は、市民の安心・安全な生活を実現させようという決意のもと、朗読に大きな拍手を送っていた。