「認定通訳ガイド」誕生、気仙地域在住の4人に認定証/陸前高田(動画、別写真あり)

▲ 戸羽市長㊥から認定証などを受け取り、通訳案内士としての一歩を踏み出した=陸前高田市役所

 陸前高田市は昨年9月から、同市を訪れる外国人を案内するための「市認定通訳ガイド」育成研修を約3カ月間にわたって実施した。その研修を履修した受講者4人が試験に合格したことから、市は17日付で地域限定特例通訳案内士として認定。同日、市役所で認定証の授与式が行われ、外国語での案内業務が可能な認定通訳ガイドが陸前高田に誕生した。

 

外国語での案内業務が可能に

 

 この育成研修は、外国人旅行者の受け入れ拡大と満足度向上に向け、陸前高田市が独自に開催したもの。本来、外国語で外国人を案内して報酬を受ける「通訳案内士」となるためには、国家資格が必要となる。しかし、同市が構造改革特別区域計画「陸前高田市認定通訳ガイド特区」の認定を東北で初めて受けたことから、市が実施する研修を履修のうえ試験に合格し、市長の登録認定を受ければ、通訳案内業務を有償で行えることになった。
 対象言語は英語と中国語。外国語技能検定で一定以上の資格を有した日本国籍、または在留資格を持つ外国籍の5人が受講した。受講者たちは、通訳ガイドの心構えや市に関する一般知識、現場実習といった研修科目を履修し、試験に挑んだ。
 その結果、試験結果は良好だったものの、在日期間が短く日本語の勉強が必要と判断された1人を除く4人が合格。住田町世田米の横澤亜耶さん(30)、陸前高田市米崎町の菅原マリフェさん(52)、同市横田町の村上オルテンシアさん(43)が英語、大船渡市猪川町の下斗米霞さん(42)が中国語での通訳ガイドとしてそれぞれ認定された。
 17日の認定証授与式では、戸羽太市長が認定証とガイド用の名札を4人へ手渡した。「せっかく皆さんを認定させていただいたので、今度は皆さんに活躍していただかなくては。お客さんを呼んでくるのは我々なので、『この仕事の資格を取って良かった』と皆さんに思ってもらえるように市役所としても頑張っていく。これからもどうぞよろしくお願いします」と激励した。
 自身の英語スキルを活用したいと受講した横澤さんは、「どこの国の人が来ても、陸前高田、気仙地域のことを気軽に案内できるガイドになりたい」と意欲。フィリピン出身の菅原さんは「日本人と一緒に頑張りたい」、チリ出身の村上さんは「津波の経験はチリも日本も同じ。人の命を助ける力になりたい」、中国出身の下斗米さんは「震災前と震災後の陸前高田を知っている。震災前後と未来の陸前高田を伝えることができたら」とそれぞれ真剣な表情で話していた。
 陸前高田だけの特例通訳案内士となった4人には、さっそく今月から仕事の予定が入っている。震災の教訓はもちろん、陸前高田の魅力をさらに世界中へ広げてくれることと期待が寄せられる。