待望の地域拠点が完成、広田コミセンの供用始まる/陸前高田市
平成29年2月25日付 8面


新築された広田コミセン。住民活動の拠点としての活用に期待が寄せられる
東日本大震災の津波で全壊した陸前高田市広田町の広田地区コミュニティセンター(同市広田公民館)がこのほど完成し、本格的な供用が始まった。被災した市内のコミセンの再建は、市コミュニティホール内の高田コミセンに続く2例目。震災後6年を前に待望の地域拠点が新築され、町民の生涯学習の場や有事の防災施設としての活用に期待が寄せられる。
震災後6年を前に新築
新たな広田コミセンは、広田小学校隣の同町前花貝地内に整備された。木造平屋建てで、延べ床面積は738・66平方㍍、建設工事費は約2億8800万円。文科省の災害復旧事業として昨年6月に着工した。
同コミセンの特徴は、倉庫に備えられた蓄電池、住民が自由に使える交流室、自然光を取り込むための天窓、事務室の隣に作られた小さな会議スペースなど。
このうち蓄電池は、災害時などに停電しても電気を使えるようにと取り付けられたもので、コミセン内の各部屋には停電時に使用可能なコンセントと照明が完備された。
交流室には、テーブルのほかに畳のスペースも用意。室内の本棚に並ぶ書籍の多くは、横田コミセンを通して旧横田中から譲り受けたもので、読書を楽しむこともできる。
このほか、畳敷きで間仕切りがあり、災害時には避難場所にもなる会議室や、30人規模の会議、講習会などにも対応できる研修室、障害者や乳幼児を連れた母親が使いやすい多目的トイレ、有事の際に開放するバリアフリーの出入り口を設けた講堂などを備えた。
施設内の各所には、広田町在住、または出身の人々が手がけた絵画や掛け軸も展示。このうち、同町に住む畠山孝一さんが手がけた変形500号の油絵は、前のコミセンにあって被災したものを、修復して再度飾ったのだという。
放課後の時間帯にコミセンを訪れると、さっそく交流室を活用して勉強に励む広田小児童の姿がある。
藤井愛花さん(3年)は「(交流室は)静かで気持ちいい。イベントとか、きょうみたいに宿題をするときに使いたい」、出羽涼夏さん(同)は「会議室を見て、すごいと思った。交流室で勉強するのは楽しいので、これからも使いたいです」と交流室を気に入った様子だった。
コミセンの隣では、6月の完成を目指して国民健康保険広田診療所の建設が進められており、完成後にコミセンと診療所の竣工(しゅんこう)式を併せて実施予定。
また、2月28日(火)までコミセン内を一般公開している。時間は午前9時から午後4時。問い合わせはコミセン(℡56・2951)へ。