遺構や水産資源の扱い問う、初日は議員3人が登壇/陸前高田市議会一般質問

▲ 3議員が登壇した初日の一般質問=陸前高田

 陸前高田市議会3月定例会は28日、通告に基づく一般質問が行われ、鵜浦昌也(創生会)及川修一(新風)菅野定(新風)の3議員が登壇した。震災遺構の保存と活用策、企業誘致、小友干拓地の有効活用など、同市へ人を呼び込みつつ、市民のなりわいにも結び付けていくための施策について、当局にその方針を尋ねた。


 奇跡の一本松や旧気仙中校舎、タピック45、下宿定住促進住宅といった、同市の「震災遺構」について質問したのは、トップ登壇の鵜浦議員。震災遺構は国と県、市が整備を進める「高田松原震災復興祈念公園」内に残されることになるが、「それぞれの施設管理や経費、将来的な維持費用、地域活性化への生かし方などはどう検討されているか」と尋ねた。
 このうち一本松について当局は、「年間300万円程度かけて保守作業を行っているが、その費用は一本松保存募金より実施している」と答弁。そのほかの建物については「経常的な費用はかけていない」とした。また、一本松は国が、公園内の施設は県が管理するという。
 さらに同議員は、一本松そばにあるユースホステルが築48年、気仙中や定住促進住宅も築36年が経過し老朽化しているうえ、津波で被災していることから、見学者の安全性確保にも言及。当局は「中に入って見ていただくことは極めて困難。フェンスなどを整備し、外から見学してもらうことになる」と回答し、建物自体の改修などを行う考えはないことを示した。
 同議員はこのほか、企業誘致の現状と課題についても質問。当局は、震災後にさまざまな民間企業から支援を受けてきた中、そうした企業からも情報収集にあたっているとし、「ノーマライゼーションという言葉のいらないまち」づくりにも係る、福祉関連企業の誘致も検討していると答えた。
 及川議員は、水産振興に関する質疑の中で「小友浦干拓地」の利用計画を質問。エゾイシカゲガイの種苗確保などを目的に、「研究施設を誘致する考えはないか」と尋ねたが、当局は「イシカゲガイの養殖技術は広田湾だけが確立している。仮に研究施設を造ると、その技術が市外へ拡散されることが心配される」と答弁。「干拓地では、干潟再生による潮干狩り場や公園、イベント広場、フラワーガーデンなどが計画されている」とし、「研究施設誘致の考えはない」と述べた。
 また、今後の運動施設等整備に関する同議員の質問には、「復興祈念公園内の運動公園エリアは、29年度に災害査定を実施し、その後順次工事に着手する。完成時期はエリア全体が31年度で、第1野球場は30年度、第2野球場やサッカー場などは31年度を予定しているところ。第1球場はプロ野球の試合が可能な施設を目指す。従前以上の整備については一般財源の負担が大きいことから、スポーツ振興くじ助成、民間企業から支援をいただくことなどを検討している」と答弁。
 また、国体・東北大会クラスの競技会が開けるよう、市体育協会から「18面のテニスコート整備を」と要望を受けていることについては、「整備できるだけの面積は有しているが、財源確保が大きな課題になっている」とし、検討段階にあることを示した。
 「高齢者の就労機会の確保」について尋ねたのは菅野議員。経験豊かで就労意欲がある高齢者の活躍機会として、「市シルバー人材センターに、市から発注する仕事を増やしてはどうか」と問いかけた。 
 これに対して当局は、現在、庁内清掃や火葬場での補助業務、二又診療所への送迎など、49の事業を同センターへ発注していることや、子育て経験者を登録した在宅子育て支援(ファミリーサポート)事業にも取り組んでいることを説明した。
 さらに、「シルバーの皆さんから『仕事の情報交換をしたり、製作品を展示できるサロンがほしい』との声もあるが、開設は考えられないか」という同議員の質問には、「同センター内にはすでにシルバーワークプラザがある」としたが、各地域で開設されている〝お茶っこサロン〟を例に取り、「『就業』とどう結びつけていくかだが、こうした交流事業の中で、生きがいづくり対策としても協議していきたい」と述べた。